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ひと夏の恋
夏休みに入った日、俺たちは付き合い始めた。
同じ時間を共有する中でお互いに一緒にいたいと思うようになり、付き合うのは自然の流れだった。
学校の帰り道、花火大会、深夜の長電話。
遥といる時間は全て輝いていた。
でも、遥の瞳の奥に、どこか「焦り」のようなものを感じるようになった。
ある日、彼女がぽつりと言った。
「…もし、私がいなくなったら、蓮くんはどうする?」
「何言ってるんだよ」
「……なんでもない」
笑ってごまかすその声が、かすかに震えていて、少し元気がないように思えた。
だか、俺は見ないふりをした。
・・・怖かった、なにも変わらない日々が突然壊れるような気がして。