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あなたに感謝していたいの  作者: 遠藤 敦子
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「歌乃にこーんな良いお友達できておばあちゃんも嬉しいわあ」

おばあちゃんが嬉しそうに言った。その後も食事やケーキを片手に談笑し、クリスマスパーティーはお開きとなる。



 放課後、侑也といつも通りバスで帰っていた。そのタイミングで早川公平からLINEが来ていたこともあり、侑也の前で開いてしまう。青空の写真1枚だったけれど、いま大阪はこんな天気だよと伝えたかったのだろう。侑也が隣にいることを忘れて、ニヤニヤしながら見ていた。


 それから別日に、真白ちゃんと恋愛話をする。真白ちゃんから

「歌乃ちゃんって好きな人とかいるの?」

と訊かれ、私は

「いるよ」

と答えた。

「どんな人?」

真白ちゃんにこう訊かれたので、

「大阪にいた頃に知り合った26歳の人! 見た目だけじゃなくて中身もイケメンで、私のこと救ってくれたの」

と早川公平の人となりを説明した。

「大阪のイケメンか〜。さぞかしカッコいいんだろうな。しかも26歳とか大人じゃん」

と真白ちゃんは言う。私は真白ちゃんに

「そういう真白ちゃんはどうなの?」

と訊いてみる。真白ちゃんは照れくさそうに、岸本くんが好きだとこっそり教えてくれた。



 1週間後、侑也にギターのレクチャーするから屋上に来てと誘われる。マイギターを持参して屋上に行き、いつも通り侑也からレクチャーを受けた。やはりずっとギターしている人は違うなという気持ちだ。

 しばらく沈黙が流れ、侑也が話を切り出す。

「古澤に好きな人がいるっていうのはわかってる……。でもそれでも好きなんだ。もしダメなら友達としてでも……」

私も薄々、侑也が私に気があることに気づいていた。侑也のことは好きだし気まずくなりたくはない。けれど私の心から早川公平が離れることはないのだ。

「気持ちは嬉しいけど、好きな人いるから侑也の気持ちには応えられない。でも侑也とは友達として仲良くしていきたい」

と私は返す。侑也はやっぱりそうだよな、と言いたそうだった。お互い気まずくならないように、今後は友達として仲良くしようと話して別れる。


 侑也の告白を受け、私は今後幸せになって良いのだろうかとベッドの中で悶々と考えた。早川公平と付き合えたら幸せだろうなと思うけれど、早川公平からもらってばかりで私は何も与えられないような気がしたのだ。何も与えられないのは早川公平だけでなく、もちろん侑也にも真白ちゃんにも岸本くんにもだ。男とうまくいかなくて自暴自棄になったお母さんから言われた言葉がフラッシュバックし、いつかみんな私から離れてしまうような気がして不安になった。いろいろ考えすぎて涙が止まらなくなり、早川公平からのLINEに返信するのを忘れてしまった。

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