0話『死』
この作品に出会ってくださった皆様に感謝を!
※この物語の主人公は1話から登場します。
「──?」
──瞬間、背中に灼けるような痛みが走り、衝撃で■は地に両手をついた。
「ゴフッ──」
咄嗟に右手で口を押さえるが、無情にも命の雫はボタボタと零れ落ちていく。
背中を斬られた──
その事実が脳にこだまする。
気配は無かった。
予想もしていなかった。
致命の一撃を無防備に受けてしまった。
「何故」
次第に意識が混濁していき、視界が狭まっていく。
それでも■は今にも眠りにつきそうな重い頭を必死にかき回し、思考を弾けさせる。
地面に爪を立て、鬼の形相で■は頭を上げる。
「────」
駄目だ。
絶対に駄目だ絶対に駄目だ絶対に駄目だ。
駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だだ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目目だ駄目だ駄目だ駄目だ。
何故だ──何故だ何故だ何故だ!──何故私は地に伏し、無防備に肢体を晒している!?
幾千ものシミュレーションをしてもこの状況をどうにかする策は浮かばない。
打開、逃走、道連れ……頭を反芻するその思考も次第に温度は下がり始めていた。
そして、時間にして一秒。
首に刃が振り下ろされるその瞬間、■は──
笑った。ただ笑った。
それは届くかすら分からぬ程に小さい微かなもの。
だが、その場にいる全員に確かな悪寒を与えた。
「────!」
刃の速度が増す。
だがもう遅い。
「……これが最後の悪足掻きでさぁ」
誰よりも、この世のどれよりも深く醜悪な顔で■は笑う。
刹那──■の視線の先がきらりと光り、刃を振り下ろさんとした女性の胸に一筋の閃光が走った。
読んでいただきありがとうございます!
次話もよろしくお願いします!