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9月になって

 夏休みが終わって学校が始まった。テストがあったりしてなかなかに忙しい。


 放課後久しぶり理科室2に入った。少し埃っぽく掃除をしたり、データー整理のためにパソコンを立ち上げたりしてホッとして椅子に座ると、


トントン


ノック音がした。


「如月がおります。」


と返事をするとドアから森田さんが顔を出した。


「久しぶりです。」


今日はメガネをかけて髪形もボブスタイルになりちょっと地味な印象を受けた。


「どうぞ、入って」


彼女は慣れたもんで、スススッと応接スペースへ座った。


「元気そうで良かった。無事学校に来れてて。」


実は幸太朗が小学生の時、学校に来れなくなったから森田さんは大丈夫なのか気にしていた。


「もう、親の完全送迎になっちゃいましたけどね。あと、メガネに髪形も。少し地味にしろって。しばらくは私服もお洒落はダメだって。目立つなって。私より両親の方が怖くなっちゃったみたい。」


「腕の怪我は大丈夫でしたか?」


「すっかり、跡も残らないわ。ありがとう。あの時、如月さんだって危なかったのに。命の恩人よ。佐田さん達も。今日は私、科学部に入れないかを聞きに来たの。私、華道部を辞める事になって。母いわく、そのせいで目をつけられたからですって。」


「へっ?」


「親が科学部ならいいって。私もいきなり帰宅部は寂しすぎて。だって、私は何にも悪くないと思うの。それなのに制限されすぎよ。」


うーむ、


「あれ、森田さんって文系クラスですよね。理科、何の科目なら興味ありますか?」


理系じゃないから苦手意識とか大丈夫だろうか?


「生物なら。ほら華道部だから。植物系の実験テーマを考えるわ。」


ちょっと嬉しそうに先を考える森田さんを見てダメとも言えまい。


「生物班の班長は細田なんだ。話しておくよ。あと一年生が3人ほどいる。今日は誰かいるかな?細田より一年生の方が頼りになるから。」


あ、それと、


「ヤキモチ焼きのインコが準備室にいるから気をつけて。」


注意は必要かと。



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