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 数々のインコの無礼をお詫びして、細田はバスケ部へと戻っていった。幸太朗は平原先輩に数学班の研究について聞きたいことがあり、間中は戸村先輩と理科室4の隠れ戸村スペースについて話があると言う。


 暇になった私は校内を散策したいという蔵森さんとぶらりと歩くことにした。


「本当は平原先輩と校内散策したかったんじゃないですか?」


幸太朗が平原先輩をとっちゃって申し訳ないなと思いながら、今は理科室1前の廊下を。音楽室に行きたいとの事だった。


「あっこの傘達まだ健在してたんだ。前は理科室2にあったよね?」 


理科室名物「絶対盗まれない傘シリーズ」だ。先輩達が工夫を凝らした傘で盗まれないためにはどうあるべきかビニール傘に意匠を凝らしてある。


「私、知ってる。1番盗まれないのはこの相合い傘だって。」


それは差すと恥ずかしくなるでかいハートが先頭についたいわゆる相合い傘(1人でさすと虚しくて2人でさすとバカップルに見えるという)であった。使われなさすぎて1番綺麗である。


「あれ、音符書いてあるのは無かった?」


「見た事ないですね。使った事あるんですか?最近理科室1の方が階段に近いので奥まった理科室2よりはもしもの時早く取れるってこっちに移ったんです。もう、科学部員、使う気満々ですよね。」


蔵森さんはニコニコと笑った。きっといい思い出があるのだろう。


「健さんとはそんなに高校で一緒に居たわけじゃないの。それこそ戸村さんには敵わないわ。私は、理科室と音楽室と1-4。それぐらい。あ、会議室もあるか!幸太朗さんの用事が済んだらまた2人で歩くから気にしなくて良いよ。それより私に付き合ってくれて如月さんこそありがとう。」


「いえ、どういたしまして。」


音楽室への階段を登る。今日はもう、吹奏楽部も練習をやめにしていて静かだった。蔵森さんは音大のピアノ科に通っていると聞いた。音楽室のピアノに思い入れでもあるのだろうか。


「幸太朗さんと如月さんって幼馴染なんだって?」


「平原先輩から聞きましたか?」


「うん。実は私にも幼馴染がいたんだ。なかなか難しいよね。いろいろと。私は幼馴染が大変な時、助けようとして空回りしてかえって嫌われて。だから如月さんと幸太朗さんのトラブルを2人で乗り越えている感じが羨ましい。あ、でも私は健さんに会えたからもう大丈夫だけどね。」


平原先輩に彼女ってどんな感じか想像も出来なかったけど実際お会いすると納得できる空気感が漂っていた。


「平原先輩と蔵森さんお似合いです。」


そう返すと、


「ありがとう」


花のように微笑んでいた。





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