なぜ
「あの細田との写真を見ればさ、そりゃ森田さん美人だから、もっと見たい的な欲が出るのは分かるけど、花壇を荒らしたり、切りかかったり暴力的な方向に行ってしまったのは何故なんだ?」
戸村先輩はそこがわからないのよねーと首を傾げながら聞いてきた。
「戸村先輩的には42歳が16歳のストーカーになる気持ちは分かるという事ですね。」
間中が突っ込んだ。
「ヤメテーなんかそんな風に言うと俺がよからぬ欲望の持ち主みたいじゃない!あっ、蔵森ちゃん、ヤメテその目」
平原先輩の彼女の冷たい目線に戸村先輩がのたうち回っている。楽しい。
「犯人が暴走したのは全くの私達の判断ミスというか、幸太朗と細田と森田さんが一緒にいるとこをみたのがスイッチだったみたいです。」
「えっそうなの?」
細田は知らなかったようだ。うん、教えてなかったかも。
「土曜日のいつもの会合のあと、花壇で話しをする森田さんと幸太朗を見つけてショックを受けたとか。自分は彼女と同じ時代を過ごしていない事に初めて気付いた。凄い嫉妬に支配されたと。2人が仲良く話していた花壇を荒らしたことで関係を壊したような気分になり、そして初めて彼女に手紙を出すことで自分の存在を知らせてみた。」
実際の森田さんと幸太朗の会話はドクダミの件で果たし合い一歩手前の会話だったわけだが、側から見たら雰囲気を出してしまっていたとは。恐るべし美人とワンコ。
「それからは、森田さんは1人にならないように警戒して行動していました。森田さんの方で友人が手配できない時は自転車通学で時間に融通のきく細田と幸太朗を貸し出したわけですが、それこそ側から見れば、」
「憧れの下校デート!」
はい、毎度ありがとうございます。平原先輩の彼女さま。
「でも、この犯人さん身長165センチくらいなんで、細田と幸太朗みたいに大きな男がいる時は手出しができなくて、フラストレーションが溜まる。そしてとうとう事件当日、か弱い私と歩いている森田さんを狙ったわけです。」
か弱いあたりで咳払いするな、間中めっ。
「やっぱり、殺人未遂になるのか?というかそのつもりだったのかな?」
戸村先輩までか弱いをスルーしてくる。
「他の男といる彼女を見たくないから、刃物で脅して連れ帰って監禁。上手くいかなければその場でザクっ」
「いやー」
大丈夫です。戸村先輩を狙ったわけではありませんから。




