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各クラスの調べ 6/22(火)

 被害があった各クラスへの聞き込みはツテを使いつつの被害毎に分けることにした。


 看板を破損させられたクラス、3-1、2-1、1-3はバスケ部のツテで細田。


 外装の黒ビニールを破られたクラス、3-4、3-6、3-7は生徒会のツテで間中。


 黒板アートを消された3-2、2-3、1-5は自分のクラスも入っているので私、如月と佐田。


 景品が盗まれたかもしれない3-3は科学部の癖が強い安田先輩に誰も会いたくないから私が1人で。そこは佐田もついてこないらしい。

 

 発見時間、発見者、被害の規模と修復にかかった時間、気になった事などポイントを絞りつつ、文化祭中の教室の様子などあれば写真を貰ってくることにして再びボイレコ片手に各自挑むことになった。


 私も出来れば安田先輩には会いたくないのだが。しかし彼女のクラスに行く以上、無視して別の人を訪ねた所で後が大変だ。早めに昼ごはんを食べて3-3へ。教室の入り口付近の人に


「安田先輩はいらっしゃいますでしょうか?」


と声をかけると、


「あ、安ちゃんね、あそこ、前の方でお弁当食べてるよ。」


親切に教えて頂けた。いた。女子4人で楽しそうに。仕方ない。特攻するか。


「安田先輩!お久しぶりです!如月です!お聞きしたい事があるんですけど。」


可愛い後輩の振りで行ってみよう。努力むなしく安田先輩はあからさまにゲッという顔をした。


「きさらぎ〜ちゃんじゃない〜。なあに?」


「文化祭の3-3のクラス企画での景品紛失の件を教えて頂きたくて。生徒会の間中から頼まれましてね。」


生徒会を出すのが無難だ。


「あれは、騒いでいたのは後藤くん達よね。」


安田先輩は周りの女子達に聞く。賛同を得られると、


「手伝ってやっても良いけど、あんたこの前、戸村先輩のかき氷、私を呼ばなかったわよねぇ。」


安田先輩は戸村先輩に何故か片想い中だ。戸村先輩が在学中に告白したものの「タケちゃんより好きになれない。」と返されたと科学部内では有名である。


「あの時は突然で、至りませんで、あの細田すら食べてませんで、はい。」


「まあ、私、あの日休みだったんだけどね。次は分かった時点ですぐに連絡しなさいよね。こっちは戸村先輩に会うにはいろいろ準備が必要なんだから。」


休みだったんかい、準備って何?いろいろ脳内では駆け巡るが、ここは


「善処いたします。で、あの後藤くんとは?」


「ぜんしょって何?全員処分の略?いや、科学部員全員処分しなくていいわよ。私はそこまで、怒ってないわ。大体、科学部無くなっちゃったら戸村先輩来なくなっちゃうじゃない!」


「いや、あのですね。いや、安田先輩、今後戸村先輩の件は出来る限りの連絡を心掛けさせて頂きますの善処であります。」


「連絡するならすると言えば良いのよ。全処とかいうから。あとさ、さっき細田くんが云々って。あんた、まだ細田くん諦めて無かったの?私の勘によると細田には恋人がいるわ。一途に心に決めた恋人よ。あなたには無理だから、執着するのはやめなさいよ。」


細田の恋人は先輩もご存知の理科室準備室のインコの雛ちゃんですよ。ともいえず、はあと返事をする。安田先輩は何というか、話が通じない人である。その上、話が長い。もう休み時間が終わりに近づいている。細田の恋人についての考察を語りはじめ、それから、恋の定義に差し掛かってきて途方にくれていると、安田先輩の友人の1人が、


『後藤くんはあの窓側の前から3番目。放課後、自習館掃除だからそこで捕まえなさい。』


とルーズリーフに書いて渡してくれた。


「安ちゃん、トイレ行こう。もう休み時間終わるよ。ほら後輩ちゃんも、帰らないと。」


逃してくれるようだ。


「ありがとうございます。」


目線を窓側にやって後藤くんとやらを確認すると3-3を後にした。











 








「安田先輩はいらっしゃいますでしょうか?」

この如月のセリフに誤字報告を頂きました。有難うございます。まず、読者様がいらっしゃる事に感激しております。しかしあえてこのままでいかせてください。安田先輩を前にすると少し変になる感じと言えば伝わるでしょうか。

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