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ここは十四話。時間が無かったら、そりゃ手早いね。※ついったの代わりに修正進捗完了報告用ブログ開設。詳細活動報告記載。


 青歯車さんと玄関口で待っていると伝言を貰ったので、素直に部屋を退出した。階段をもう一回上ったが、やはり色とりどりで綺麗だと感じる。

 情報を知れたような、そうでもないようなよくわからない時間だったけど、青歯車さんは意外と真面そうなのを隠してるだけというのはなんとなくわかる。

 確かにあの真っ黒の魔力につい抗えず突っ込んでしまったが、アイラは知っている。

 あの魔力には試行錯誤で楽しく苦しい、そして技術の進歩に沢山の愛を感じるものだった。愛でいっぱいでいっぱいな心が暴走した結果、しじしつで叱咤、というのは可愛そうだが……。仕方ないだろうな、あれでも人で居たいらしいし。


「あ、改めてムエナもありがとうね」


「ええ。アイラさんを支えるのは私の役目です。安心して飛び込んでください」


「そうだねー。ムエナは経験豊富だから安心できるね。でも、多分これから今日みたいに気持ちが溢れて怒っちゃうけど、ムエナの事はもう離せないからね」


「はい。まぁ、実際の所私の精神的な問題もあったので、私もアイラさんの事は離せないですねー。ふふふ」


 そうした話が終わるころに玄関口へたどり着く。

 青歯車さんはココロコに腕や足の調節を受けていた。青歯車さんがアイラ達を確認するためか、玄関に対して足を広げているのがおかしくて笑ってしまう。

 台座に座っている青歯車さんも心なしか恥ずかしそうで、青色の宝石が少し曇っているところが尚面白い。

 どこか重い憑き物が落ちたのか、静かに笑い種の扱いを成すがまま受けているのは『クソガキ』の異名と見比べてしまう。ココロコもどこか楽しく調整しているようだ。

 歯車の向き、間に詰まった石。それで死ぬことは無いみたいだが……足が外れるのは痛そうで、そこを見るとぞわぞわしてしまう。

 せっかくなので整備している所以外の青歯車さんを観察することにした。

 青い宝石は少し曇っているが、元が綺麗なので宝の名を冠するには十分なほどである。


 いま宝石は数が少ないのでそれは本来鎧で、いま全身で光っている真鍮色の素体は素肌なのだろう。とても硬い真鍮色の腕は、傍目から見るとその辺にある金属の棒みたいでどこに歯車が、とつい青歯車さんの周りを回ってしまう。

 すると青歯車さんが苦笑い? を浮かべ、整備中の足を指さしたので仕方なく整備中の足をみれば、断面には歯車が湧いたり沈んだりして異質な感じだった。これのどこを整備するのか見ていると、ココロコは勢いよく飛び出した歯車を捕まえて矯めつ眇めつ吟味して腕の方へ押し込んだ。

 青歯車さんは一息ついて少し緊張していたようであるが、その休息も束の間で押し込んだ腕から大量の歯車が飛んでくる。

 それにココロコは深く肩を落としこちらを見て「ごめんネ。急ぐけど、時間かかるかも」と言い出した。そして数秒硬直した後青歯車さんと少しだけ会話してから作業をすすめた。

 そうしてココロコ一人で歯車を片付け始め、しばらくすれば遠くから駆け足で数人やってきた。ココロコの友人を筆頭に数名知らない人、らしき存在も居てごちゃっとしている。


「おお! あの時の嬢ちゃんじゃないか! 色々あったらしいけど、まぁ、大体そいつが悪いってことになってる。こういうこともあるのがこの世界だよな! 面白くて好きだぞ、俺は」


「名前知らないけどこんにちは。まぁ、今回に関してはイラつきはしたけど嫌いにはならないから安心して。んで後ろの人たちは? なんか百面相してるけど」


「ん? あー。まぁ、技術神の神使だからなー。つい気が急くんだろ、彼らからすれば群れのボスの子孫がやらかした相手とやらかした本人が目の前にいるから……」


「あー、ね。さっき似たような事言ったけど、気にしてないですよ。何もなかったし、私は正直楽しかったです」


 神使さんたちはあからさまに安心した様子を見せてからそれぞれ一礼して青歯車さんの修理に向かう。ココロコと互いに謝り倒しながら修理している様は異様だ。そこを友人さんが向かって落ち着けさせれば、それはそれはさすがの人たちで歯車を刺して係や飛び出た歯車を受けとめ飛んで行ったものを探しに行く人もいる。というかそんな遠くまで飛んで行くんだ。


 徐々に飛び出る歯車が無くなっていき、作業も最適化され高速になっていけば銀時計で計測してもそんなにかからなかった。

 そろそろ作業も終盤で、休む人も増えていく。ココロコも先に休憩していて、自分も軽いメンテナンスをしている。


 ……スミェーラト買ったらこの銀時計どうしようかな、首に掛けてアクセサリーにでもしようか。時計性能的には噂のスミェーラトにも負けてないはずだけど、向こうは一応技術と知識の結晶だから、豆飛び(ぽっと出)な技術じゃ負けるね。


 ムエナと長椅子に座っていると暇になった神使さんがやってくる。せっかくだから疑問を聞いてみ。


「結局あれ、何やってるの?」


 手で顔を仰ぎ緊張を誤魔化している神使さんは笑顔で「ああ、あれはですね」と解説してくれる。ムエナも興味があるのかすこし影に薄いミェナを手入れしながら聞いていた。

 つい説明に熱が入っているがどうやら、青歯車さんことタートウナ・スミラトさんは人としてこの世にうまれるとほどなくして時計に興味を持ったのだとか。

 以来何かの機構に適性があるのを知り開発することが好きになっていったのだそう。

 タートウナさんは徐々に頭角を上げ、人であるが神の孫という地位も理解ある周囲のお陰で「人である」というアイデンティティを確保できた。

 しかし、神の孫というのは只ならぬものでタートウナさんを信頼する人が増えていくうちに知らずのうちに神格が芽生え、変貌は始まっていく。

 気が付いたときはすでに遅く、気が付けば性格は荒くなり、体は溶かした歯車を内包していった。そのうち無茶な開発や実験を繰り返すようになって当時の職場で面倒を見切れず神士扱いで奉仕活動をする日々に。

 我慢できないタートウナに大二柱は手を出すことができず、技術神の許可を得たタートウナさんの両親が無理やり神格を取り除く。

 長くなったがその際の後遺症でああやって整備が必要になるらしい。技術神の関りじゃないと手が出せないのでいつもは暴れるタートウナさんを頑張って取り押さえながらだとか。


「なのでおとなしいのが不思議なんですよね」


 と締めくくる神使さん。

 なるほど、そんな経緯があったのかと感心するけどまだもう少し謎はある。

 あっちこっちに曲がるミェナを押さえつけながらムエナも疑問が出来たのか質問をした。


「えっとー。タートウナさん? の無茶苦茶開発って後遺症じゃないんですか?」


「あー……薬物中毒みたいな? 本人曰くあの頃が忘れられないらしい。学術技術的に調べたけど中毒性はないっていうからなにか気になることがあったんだろうね」


 ムエナは「ありがとうございます」と笑顔でお礼を言った後、ミェナをにらみつけておとなしくさせて整備している。

 ムエナになんでやっているのか聞けば、ミェナの整備はミェナにとって娯楽らしいので、やってほしくなったのだろう。

 その様子をみてそういえば何か気配が多いな、と周囲を見回せば何かを整えている人達ばかりになっている。アイラには必要のない行為だが、見ているのは楽しい。音も様々で全体的に心地よい空気が流れている。

 今は十五時頃で、スミェーラトの販売所? がどこにあるかわからないがそろそろ行かねばならないはずだ。

 まだかと待っていると、ココロコさんの友人が神使たちと何かを話してから去って行く。

 やがて整備の道具が片付けられると、タートウナさんはゆっくり立ちあがり手足を握って軽くジャンプする。甲高く透き通った金属音が鳴り響き、タートウナさんが目を瞑る。数瞬後には青い髪、程よい筋肉、眉目秀麗な人が安心したように立っていた。

 やがて此方に歩いてきて言葉を発する。

 

「……改めて、申し訳ない。さっきの話で分かるはずだがあれは俺の独善だ。あの全能感は正直、人間が口授していいものではないと確信できた。ありがとう、そしてごめんなさい」


「正直、この件に歯いろいろなすれ違いがあったと思うの。でも、無事だったし。私も結構感情に余裕がでたから、あんまり気にしないで」


「……そっか」


 タートウナは全能感、とは言ったがあの空間に残された感情を読み取ればそれは違うと言える。うまく言えないけど、あの渦で心は浮き、楽しくなったのだ。全能感、っていうのならもう少しあの演習場を出ようとか考えていた、かもしれない! 詳しいことはあの時に聞かないと分からない。


「あ、きちんと馬車とスミェーラトも技術協力させてもらうことになったんだ。よろしく」


「うん、よろしく。……ねーお兄さん。スミェーラトの語源、知ってる? なんか技術の神がどうのこうの、っていうのは聞いたんだよね。気になっちゃって」


「んー。ココロコ先生が荷物詰め始めたから、荷車の中でいいか?」


 そう言われて荷車を見ればユニコーンもやる気を見せる中、沢山の荷物を詰め込んでいた。

 仕方ないのでそちらに向かうと、荷積みを手伝おうかと言えばミェナとムエナが頑張っているらしいので自由行動だ。アイラは意外と筋力がないので、こういう時に役立たずである。

 タートウナの手を引っ張って荷車に連れ込むとき、ムエナがなにか反応していたが諦めて欲しい。


「なんか、ムエナを働かせてって言うのもモヤモヤするね。仕方ないんだけど」


「まーなー。俺も変に運びすると力みすぎて歯車吐くからあんま出来ないんだよな、こういうの。遠距離型っていうか、なんというか……――――?」


 ()()()()()で聞き取れないし聞く気もなぜか無くなってしまう。そして今からすることがどうなるかわからないけど足りる、かな? 猫の足音みたいなものが鳴る波模様の小瓶程度なら作れるし誤魔化せるかな。まぁ、何かを生み出してるのは見てるだろうから何も言われないだろうけど。


「お兄さん、今から見せるのは内緒だよ。あなたが教えてくれなくて、私からするとよく分からないナニカでちょっとだけ秘密の事をするから」


「……え? あ。あ! お、おい今はやめろ!」


 どうせ技術神から教えて貰っていたのだろうが、口から笑いがこぼれるほどもう遅い。周囲から魔力をかき集め、自分の内から魔力を捻り出す。全てを混ぜるような灰色、それから白と黒の魔力が荷車の中の渦巻き輝く。


「おい、街中は警報がなるから……って鳴らない!? あ、そっか……ぐあー禁則事項のアホ! とっとと言えれば楽なのに!」


 最初は鈍い輝きも、段々と眩しくなっていく。暫く高速に渦巻いていた光と三色の魔力が収束していき、最後に猫が「にゃー」と鳴けば完成した。

 中は空洞、見た目は水色の波で猫の足跡を書いたただの小瓶だ。蓋のない小瓶にそっと耳を当てればカリカリ音とペチペチ音、それからさざ波も聞こえる。

 あまりの出来栄えにドヤ顔でタートウナを見てしまう。複雑な表情の彼は何を言うのか悩んでいる様子だ。

 そんな彼の後ろからムエナが見えたので渡して、椅子で目を瞑る。ムエナの気配を感じ取ればこちらも悩んでいるようだが、諦めて何も言わずに椅子へ座ったみたいだ。

 ちらりと目を開ければムエナは瓶に耳を当て楽しんでくれている。こんな予定だったか分からないが……基本的に何も無ければよし、がこの人世の定めなのは分かってるので気にしない。


 タートウナは色々悩んだ末に会話を繰り出す選択をしたようだ。別に今の彼に何か問題があるわけでもないしね、答えて上げよう。


「あ、そうだ。今の内に聞きたいことあるか? そろそろ篭って出発までに開発と付与しなくちゃいけないから、多分一旦お別れなんだ」


 別れ、か。「なんか妹みたいで悪くない」と宣っているぶん殴っても平気そうな彼と別れるのは寂しい。そういえばスミェーラトの語源を聞いていなかったので、気持ちを抑えるために真面目な話をしてみる。

 事もなげにタートウナが言うにはスミェーラト、その語源であるスミラト。これは技術神の一族名で、正確に言うとあの凄く長い尊称の『二律背反』の部分に当たるんだそう。

 もちろん受け手で解釈は変えていい程度のふわっとしたものと制定するのがお決まりなんだって。

 

 あと聞いたことはなんで鎧は青い宝石なのかは、技術神の掲色(かかげいろ)が青と銀だからその血が反映してるとか。

 次第に話すことはなくなり妹とか言うからムエナと一緒に膝の上へ乗ったりしたが、平均よりすこし高い彼の身長は百九十もあると聞き驚愕する。

 胸板にへなちょこ拳を当てて遊んだり、ココロコさんにタートウナの恥ずかしいところを聞いたりして過ごせば街中の開けた土地に、周囲より間隔を開けて建てたらしい工場に着く。

 みんなで積荷を纏めココロコは先頭で案内を始めたのだが、工場の簡易結界だろう、その前で足を止めた。


「アッ。ここ人工魔力だらけだネ。アイラちゃん入れないヨ」


「えーまたこの状況ー?」


 そう言うとムエナはある程度こうなることを察していたのか、実は行きたかったのか子供のようなアイラに近くの緑地園へ行くか提案をしてくれる。本当にあれから感情に富み過ぎて制御できない。もう少しのんびりだったはず。


「大丈夫、そこの長椅子で待ってる」


「ほむ。では待ってましょうか」


 工場前の長椅子に座るも、まだあんまり出会ってから日数が経っていないムエナとは、改めて隣り合うと距離感に迷う。しかし道端で寒そうな薄い服したお姉さんが男の人と豪快に暗くなる前からお酒を飲んでるところを見るとこの世界にあんまり垣根はないのだな、と感じる。垣根があったらこんなに多様な種族社会じゃないか。

 遠目から見るに多分男の人はお酒飲んでないし、ちょっとお姉さんに引きながらお話している。

 男の人が纏う清い水面模様のローブはわかりやすい節制の証、お堅い神様に仕えてるんだろうか。

 まぁ、水系神(すいけいしん)がモチーフとしてる場合もあるので戒律所以でシンプルに飲んでない場合もあるし、本人がダメな場合もある。


 暮れ行く夕日は日差しなのに寒く、今が三月だという事を否応にも感じさせる。あの常闇はもっと暖かかったよ。

 寝ようとするとムエナに頬を突かれるので寝られないまま世界が闇に染まるのを見つめる。……男の人の胸板で昼寝するのもよさそうだなぁと新境地に気が付いたのでそのうち勧誘しよう。

 ……講習でざっくり普遍種の雌雄分けを聞いたけど、その法則で行くとアイラは女児に擬態した無性なのだ実は。ムエナは多分普通に女の人だけど男の人に遠慮をしてる風でもない……。アリだと感じるが相手も居ないのでまた今度、だな。

 タートウナとココロコは普通に仕事があり、特にタートウナはこれから沢山償おうとしているような噂を聴いたので、邪魔するのはよくない。

 ダルレアンは結婚してるしなー!


 この世界は過酷な環境の中、神の補助輪を受けて人々が生活している。なので旅どうこうの前に普通は就職し、祈願休暇を取るのが通例で一生涯予定の旅に誘うのは難しい。

 別に討伐者協会に行ってもいいけど、そもそも基本的に旅する集団でもないし、新人ミャルナント自体言うほど居ないのが普通らしいし。一人旅の人は一人になる理由があるのだ、あんまり誘う物でもないしな。

 神使なら、可能性はあるのかな。神に身を捧げてる存在ばっかりだろうから変な事されないし。これが神士になると『神と人に仕えた確実なる人』だからひょっとすれば普遍種だと変なことされるし。

 うーん……価値と契約、天秤を司る神あたりの神使が妥当かなー。ダルレアンさんいわくあらゆる価値を保障する神だから、実は筋肉が好きだとか……白い羽の筋肉神使と契約できないかなー。


「ムエナは、だれかほしい人材居る? 私は胸板の厚い羽持さんと一緒に昼寝したい」


「えぇ……そうやって同旅人(どうりょにん)を決めるんです? まぁ、着いてくる意味があるうちは着いてきてくれるのでしょうし、それでいいのかな。えーっと、私は動物さんが欲しいですねー。料理にご法度のような気もしますが、ユラちゃんはかわいいですしちょっと憧れます」


「ほー。まぁ荷車も頼んじゃったし、馬じゃないけど当てはあるよ。後日ね」


「はい。楽しみにしてますね」


 会話を締めくくり、いつの間にか一人になっていたお酒お姉さんをのんびり観察していると、日が完全に落ちかける頃にスミェーラトを持ったココロコと、どこか草臥れているタートウナが工場から出てきた。

 何も持って居なさそうな草臥れタートウナから「ほい、これ」と言われ渡されたのは裏に白と黒色が幾何学模様を描いている、リンゴ丸ごと縦スライス二つ分の大きさを持つスミェーラトだった。

 表は黒く顔が映りこむような輝きで、画面に円を描くと周囲の微弱な魔力を吸収し画面が光り始める。

 ……二つもくれるとは思わず、目が点になるようだがせっかくなので何ができるのか聞いてみた。

 フルカティマズム(フルカスタマイズ)という括りになるこのスミェーラト。

 まず他人登録の位置情報機能。登録者本人が追跡を切りたいところは無意識に切られる高性能。普通はスミェーラトに付いて居ない上、無意識制御を使用している。それの短時間開発費とアイラの手一個半に収める変換機構費、開発したてなので遠隔修理もでき、このスミェーラト限定で機能追加ができる圧縮機構。使用者の許可とかの設定はあった。

 ココロコとかに相談していいらしいが遠隔相談、補助費、中身情報の更新保証とかの契約オプションを数年分一括で払ってくれたそう。

 それから空気魔力者でも充力ができし操作もしやすい吸収機構、まだできたばかりらしい。

 掛かった金額を聴いたら小型魔獣を大量に倒しても二年以上掛かりそうだったので、お金が大事というのを痛感した。

 百五十万コクハから数えてない、ってココロコさんこわ……。


 ほかは普通のスミェーラトでも使える機能らしい。

 一部企業が出すリヌカ(アプリのこと)の詳しい使用には資格が必要だが、普通に使用はできるカシトカサーシャ(ほぼアプリストア機能)とか。

 個人連絡機能。遠隔で文字や声で会話ができたり。

 あと大事な地図。

 

「……ムエナにも同じ物を?」


「さすがニそれは無駄遣いデショ。そこまで過保護にしなくてもムエナ君は生きていけるヨ」


「それは、そう」


 どうやら寂しがりの解消で開発してくれたらしい。感謝の極み。大事に使おうと思もい、時計をどうしようか見比べているとタートウナが助言をくれた。


「あ、その時計多分裏の模様に合わせると一体化するはず。時計を持っていたの思い出して急いで魔術陣書いたんだ」


 その通りにすると不思議なもので、銀と青に光った時計は銀色をスミェーラトの紐に、時計機構が埋め込まれた一体型のスミェーラトに進化したのだ。


「……好き。これ、いいね!」


 タートウナは面映ゆそうだが、普通に良い贈り物である。ここまで全力を出してもらってよかったのか……。ココロコさんは何か納得した頷きを見せているがちょっと駆動音が鳴ってる辺り少し怒っていそうだ。

 その後バラの棘みたいな言葉で突かれたタートウナを尻目に、皆で連絡先を交換した。もちろんタートウナとも交換をしたが……連絡をするかはわからない、というのは本音だ。あんまり話すことは無いよ。

 ムエナの位置情報を一定以上はなれたらに設定して、ココロコとかは登録しなかったがミェナも登録できたから、無意識下で離れ過ぎたらささやかな警告音がなる、と設定しておく。喋らないから存在をつい。そんなに大きくないし……。


 その後契約の対価である神器契約をしたのだが、血が出ずに困った。工場に働いていた神を引っ捕まえて何とか契約に成功した。ココロコには時間がないようで、夜になるのにまた出発するんだとか。

 一応、物を届けて偏向吸収を防げるようになっているので心配はないし、さっそく神器を使ったようでアイラの幽霊が浮いていた。

 意識は消えなかったが少し力を持ってかれる気分だ。すぐに治ったし、適性がある証拠らしいが……。


「ンジャ、アイラちゃんとムエナ君はここで別れる感じカナ。僕はそろそろ技術祭の顧問準備もしないといけないシ」


「あ、そうか。私達このまま一度シュカナ森街に帰らないといけないのか」


「そうですよー。動物さん勧誘もするでしょう? 眠りをとりあえず置いておいて向かいたいのですが……」


「うーん。ま、いいいか」


「話決まったカナ? 手早い別れでわるいケドボク達はいくヨ」


 眠そうなタートウナさんは黙って神士庁舎に歩いて行ったのでムエナとココロコさんに挨拶して別れた。

 技術祭……祈願祭が近いのか。頻繁にやってるとは言ってたけど、間に合うかな?

 目的に対して少しだけ急がないといけないと感じたので、ムエナと二人で歩みを進めた。相談の結果食事睡眠は無視して、道中の魔獣を狩り宿代を溜めていくことにして門を出る。

 空は黒、飲み込みそうな空に星がちりばめられ白と黒の月が浮かぶ。多分、謎はあと少しで分かる。だからもうすこし頑張ろうと決意を新たに月をにらんだ。

ありがとうございました。

下の星、欲しいな。あとブックマークと、感想も欲しいな。


アイラの一言。

「うーん。色々考えたし過ぎる時間も早いけど、珍しいけどこの世界ではそれなりにあるんだろうな」

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