プロローグ
この作品を見て下さりありがとうございます。
時間があればこの後、プロローグの方を読んでいただけるとありがたいです。
ピーッピッピ!ピーッピッピ
甲高い機械音が鳴り響く。
「どうした」
黒のスーツを着た大柄な男が鳴り響く機械の前に駆け寄った。
「そ、それが我々にも原因が.......。」
近くにいた1人の職員が答える、すると前方にいた職員が立ち上がり、こちらを見ずに1番前にある大きな画面を見ながら言った。
「ちょ、長官!大変です!これを!」
長官と呼ばれたその男は前の画面を見る。それと同時にその場にいた全職員が画面を見上げた。
「こ、これは...まさか!」
長官の顔が一瞬で青ざめたのが分かった。全職員が数秒動きを止め固まっている。
「っ!な、何をしている!今すぐ上に報告しろ!一刻も早く避難を開始するんだ!」
長官が大声で叫ぶ、と同時に警告音が鳴り響いた。
「なぜここまで発見が遅れた!なぜだ!ここは世界で最も優秀な人材と観測機が集まっている場所だぞ!!」
そう言いながら長官と呼ばれた男は機械を操作する。
「長官!ここまでです!避難を!」
1人の職員が長官に言った。辺りは今まで1度もなかった緊急事態を示す赤い光が部屋を染めあげている。
「っくそ!!」
男は拳を振り上げ機械の画面を殴った。
「な、なんなんだよ、なんでだよ!このままじゃ俺の家族が!地球がぁぁあ!」
数名の職員が泣き崩れている。それもそのはずだろう、なぜなら約6600万年前に起きた地球規模の災害が起きようとしているのだから.......。
ー観測から3分間の出来事であった。ー
「はい、番組の途中ですが緊急ニュースで、えー、っっつ!え!?」
女性アナウンサーは顔を青ざめていた。その後立ち上がり嘔吐した。その様子を隣で見ていた男性アナウンサーは1度深刻な顔をし、女性アナウンサーに代わり読み上げる。
「テレビの前の皆様、驚かずに冷静に聞いてください、ただいま世界最大級の宇宙観測機関が観測した確かな情報です。約6600万年前、恐竜などがいた頃の時代に地球に衝突した小惑星と同規模の小惑星が残り、約30分ほどで地球に到達、その後衝突するとの情報が入りました。もう一度読み上げます。」
男性アナウンサーは国民を安心させるためなのか、それとも驚きのあまり動揺していないのか、冷静に誰にでも分かるようにそう何度も伝えた。
なぜもっと前に観測されなかったのか、そんなことを議論している暇は誰にもなかった、なぜかは問われるまでもない。6600万年前、小惑星が衝突した事によりどれほどの被害があったか、それは子供でも少しは知っていることだろう。そう、恐竜など、多くの生き物が絶滅したのだ。その被害の大きさは約80%の生物が消滅し姿を消した程だという。もちろん衝突だけでも被害は大きいが、衝突後の隕石が岩を蒸発させ地球を包んだのだ。その影響で日光は遮られ気温が下がった。そんな過去の災害があと30分で起きようとしているのだ。
その後もアナウンサーは続ける。
「今入ってきた情報です。小惑星の衝突予測地点はユーラシア大陸中央、との事です。規模が大きすぎるため予測地点も特定しづらいそうです。皆様、ここは離れているからと安心してはいけません。6600万年前の衝突では大きな揺れの後、約1000キロ先まで風が木々をなぎ倒したそうです。決してここも安全ではありません。今私が言えることは一つだけです。自分の身は自分で守る。そんなことは今この状況においては無意味です。それは衝突の後にすることです。今はとにかく海から離れ山から離れとにかく被害が少なそうな場所に逃げるのです。時間は少ししかありません。」
男性アナウンサーは訴えた。国民に投げかけた。それでも人々の顔は明るくはならなかった。
ある丘の上、夜8時の出来事である。季節は冬、夜空の中、輝く白色の光が月よりも明るく空を照らしている。そして、空は真っ赤になり、衝撃波と共に地球と衝突した。観測から32分後の出来事である。
ー現在、小惑星の衝突から300年後の世界である。ー
とある教室の授業である。
「と、言うわけで観測から約30分程で小惑星は地球に衝突したのです。なぜ観測がそこまで遅くなったのかは未だに分かっていません。そして、皆さんも知っているように、隕石が衝突した後は約80%の動植物が消滅し、人類の約99%が消滅しました。そのせいで多くの建築物や技術、情報や知識は失われました。そして残された人類に関わる大きな変化2つがありました。ここ、わかる人?」
1人の女教師、キテラが歴史、いやまだ歴史にするには深すぎる傷、あの時の出来事について話している。
彼女の問いかけに1人の少年が挙手をした。
「っ....!それではレオンくん」
挙手をしたレオンと呼ばれた少年を少し顔色を曇らせながら指名する。
「はい、1つ目は小惑星の衝突によってかつて地球上の3割だった陸地は半分以下になり、現在人が住める場所は小惑星衝突時に出来た最後の大陸と呼ばれている、ここスピィル大陸以外無くなったということ、そして2つ目は全ての動植物の新たな進化、人類は300年前までは視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感しかなかったが現在は当時、第六感と呼ばれていた感覚、今では可能性と呼ばれる感覚の進化です。」
レオンは返事の後に淡々と答えた。腰ほどまである黒い髪、その髪はとても艶やかで、彼の後ろ姿はそれこそ女の子のようだった。
「いいでしょう。その通りです。では今のを踏まえてもう少し詳しく説明しましょう。300年前の文明レベルはとても高かったそうです。地には鉄の乗り物が走り、海には現在とは比べ物にならない程頑丈で安全な船が泳ぎ、空には鳥のような乗り物が飛び、今外に見える空よりも遠くの宇宙へも行けたそうです。ですが、それらの技術は全て失われ、作り方などの情報はほとんど無くなってしまいました。ですので今話した内容は当時生き延びた人々から語り継がれたものです。
キテラは自分では見たことの無い過去の技術を生徒達に教える。
「そして、当時海と陸の比率は7:3だったものが今では約8割り以上が海面となり、人が詰める場所はほとんど無くなっています。唯一残ったこの大陸が今では地球で最後の大陸になるのです。そして2つ目、まだ皆さんは開花しませんが、15歳の冬、星が降る日に全ての人が可能性が開花すると言われております。」
キテラはそこで1度話を辞め、教室にいる生徒全員の顔を眺める。
「まず最初に可能性の説明をしましょう。可能性とは目、耳、鼻、口、舌その他にも体のあらゆる器官、手や脚、肩など様々ですが、それらの器官の進化と考えてください。例えば目可能性は、相手の攻撃する場所が感覚的に分かったりします、鍛えれば数秒先の未来も観ることが出来るそうです。ですが、1人の可能性には限界があり、多くの人は1つしか可能性を開花させることは出来ません。そして、可能性もいい所ばかりではなく、例えば先程の例で言った瞳可能性では目以外の器官が強化されないため、攻撃される場所は分かるのに避けられないなどの弱点が産まれてくるわけです。ですので可能性が開花する前の段階でしっかりと身体を鍛え、可能性がいつでも開花していいようにしなければなりません。」
その後もキテラは人類に起きた2つの大きな変化の話をしばらく続けた。
まずは私の作品を読んでくださり誠にありがとうございます。
よろしければ今後とも読んでくれるとありがたいです。