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お気の毒ですが神々の争いに巻き込まれてしまいました  作者: no name
0.お気の毒ですが神々の争いに巻き込まれてしまいました
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7.浮浪の子《ベグラント》

 その眼光に睨まれ、その脅威から逃れるには”逃げる”以外の選択肢が思いつかず走り出し、そしてその能力差に”逃げる”ことすらかなわないことを少年に悟らせたマルキウルフ。

 そんな狼を、その場にいるものすべての目に留まらない早さで倒してしまった男に少年は複雑な心境だった。

(あの人、何者なんだ……。あんな大きな狼を倒した、のか……?)

 少年からすれば(まばた)きの間――ほんの一瞬の間に起こった出来事。

 文字通り”目を閉じて開く”という生理現象が起きた僅かな時間で、目の前にいたマルキウルフの首と謎の男の姿が消え、離れたところにその両者が現れた。

 舞い上がる土煙でその姿がはっきりと見えなかったとはいえ、その結果から推測される事の顛末は少年の理解をたやすく超えていた。


 頭を失い、崩れ落ちるように倒れたマルキウルフの胴体。

 首元から溢れ出る血。垣間見えるその傷口は、心得のない少年でも鋭利なもので斬られたことが想像できた。

 男の足元に転がるマルキウルフの首と、手に握られた抜身の剣。

 その場にある事実を一つずつ繋ぎ合わせていくことで導き出される、”突然現れた謎の男が一瞬のうちにマルキウルフの首を斬り飛ばした”という推測が正しいということは少年も理解していた。

 だが、納得はしていなかった。

(人間、なのか……?)

 目の前で起きた、超常の現実を何の抵抗もなく受け入れるほど、今の少年の心に余裕はない。

 マルキウルフ(先客)が見せた末路に、彼の心身が警戒を解くことはなかった。

「さて、なんとか無事のようだね。よかったよかった」

 そんな少年をよそに、にこやかに笑みを見せている謎の男。


 鮮血のような赤の髪。

 裏表のない、太陽のように明るい笑顔。

 服の上に羽織られた、着古された黒のマント。

 腰元の鞘におもむろに納められた剣。

 用品らしき荷物を持っていないという点を除けば、その出で立ちは”冒険者”と呼ぶにふさわしいものだった。


 返事をせず固まっている少年に、男は構わず視線を流していく。

 頭上や顔、着ている服、足元、その背後。品定めをする商人のように少年のいたる所に目を向け、そして困り顔で首を傾げていた。

「ふむ……。見たところ”輪無し(ミゼリア)”のようだけど、誰の”子”なんだい?」

「み、みぜ? 誰の”子”って、どういうことだ?」

「え? もしかして、本当に”輪無し(ミゼリア)”なのかい?」

「? そもそも、その”輪無し(ミゼリア)”ってなんなんだよ」

「…………」

 信じられない、そう言いたげな顔で男は少年を眺め、ため息をつく。

「はぁ……。まさか、何も知らないでマルキウルフから生き延びたっていうのかい? とんだ偶然もあったものだな」

「? どういうことだ?」

「まあいいや。その様子だとこの世界のこと、何も知らないみたいだし、近くの村まで送りがてら話そうか。ちょうど俺も村に帰ろうとしていた所だったし」

「あ、ああ……」

 男に促されるままに歩みを再開する少年。

 まだ見えぬ村に向かって歩くその姿は、

 右も左もわからないまま、ただ人に言われるがままに進む、今の自分そのものだった。

 はじめての方、はじめまして。そうでない方、ご無沙汰しております。氷雪うさぎと申します。この度は本作品をお読みいただき、ありがとうございます。

 この作品はラノベ大賞作品を書くにあたって、準備運動や長らく作品を書いていなかった自分の文筋(作品を書く力)を鍛えなおす一環で書いています。

 だいたい60分を目安に執筆時間を区切って書いていますので、文量は多少バラついてしまいますが、できるだけ毎日書く形でお送りしようと思いますので、どうか最後までお楽しみください。


 今回で七話、ようやく話が進んでいきます。きっとゲームとかですとここまでで約5分くらいのところなんだろうなと思うと、己の遅筆ぶりを痛感してしまいます。もっと書けるよう、頑張りたいところですね。


 それではまた次回の後書きでお会いいたしましょう。



氷雪うさぎ

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