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お気の毒ですが神々の争いに巻き込まれてしまいました  作者: no name
0.お気の毒ですが神々の争いに巻き込まれてしまいました
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6.刹那の剣《ワンショット》

 血を流し、辺りに敵意を振りまく手負いの狼(マルキウルフ)

 体の半分は赤褐(せきかつ)の色に染まっていたものの、その動きに鈍さは見られない。

 その場で固まる少年への意識を割きながらも素早く首を右へ左へ振り、姿の見えない襲撃者への警戒と自身の壮健ぶりを示す。弱肉強食という掟のある自然で生きるマルキウルフにとっては至極当然の反応だった。

「へぇー、意外にタフだな。アレを食らっても立ってられるのか」

「「!?」」

 不意にかかる声。マルキウルフと少年、二人の視線が同時に注がれる。

 その先は雲一つない青空――空のキャンパスについた点のような人影だった。

「そぉぉぉぉぉ――ー」

 青天にある”点”から声が降り注ぐ。

 その声の主は男。若者が持つエネルギーの溢れた声が宙空に響き渡り、その存在を主張していた。

「――れぇぇぇぇぇえっ!!」 

 一人と一匹の視線の先にある人影――男の姿が声とともに、重力に引き寄せられるままにその高度を下げていく。

 その身が大地へと落ち、宿していたエネルギーが衝撃に変わり、激しい音とともに空気の圧が少年とマルキウルフを襲った。

(な、なな、なんだ”アレ”――)

 水面に岩を落としたように、噴き上がる土埃。

 目まぐるしく変わっていく事態に取り残されている少年の目が捕えた人影――男は笑っていた。

 自らの着地によって巻き上がった砂塵を気にも留めずに手負いの狼へと視線を向け、物珍しいと関心をあらわにした。

「こんなところにマルキウルフとは珍しいな――」

 土埃の切れ目に映る男の右手が腰にある剣の柄にのびる。

 左手が鞘に添えられ、

「――まあ、そんなことは――」

 右足に力が込められ、足元の土が掘り下がる。

「っ!?」

 そして、少年が瞬きをした間に男の姿が消えた。


 左足を支点に男の右足が地を蹴る。

 マルキウルフとの距離、約三十メートルの半分をその一足で越え、初動によって生まれた全ての運動エネルギーを左足に留め、一歩。

 残りの距離をさらに一足で越え、手負いの大型狼(マルキウルフ)の眼前に到達し、二歩。

 そうして誰の目にも映らないままその場に到達した男の右足が地を離れ、三歩。

 ただ一点、狙いを定めて跳んだ男の鞘から剣が振り抜かれ、一閃。

 男の剣閃がマルキウルフの喉元から上に肉を裂き、激しい血しぶきとともに胴体と頭とを別れさせた。

 すべての仕事を終え、宙から地に再び足を置き、四歩。

 少年が瞬きをした刹那に、男はマルキウルフの首を斬り飛ばし、その(しるし)を宙に舞わせた。


 抜いた剣を鞘に戻し、再び少年の視界に映ると男はにこやかに笑い、

「――俺には問題ないけどね」

 ドスンと、重い音を立てて落ちたマルキウルフの首を見下ろしていた。

 はじめての方、はじめまして。そうでない方、ご無沙汰しております。氷雪うさぎと申します。この度は本作品をお読みいただき、ありがとうございます。

 この作品はラノベ大賞作品を書くにあたって、準備運動や長らく作品を書いていなかった自分の文筋(作品を書く力)を鍛えなおす一環で書いています。

 だいたい60分を目安に執筆時間を区切って書いていますので、文量は多少バラついてしまいますが、できるだけ毎日書く形でお送りしようと思いますので、どうか最後までお楽しみください。


 今回で六話……話の切りどころが悪く、今回は盛大に延長して書きました。

 ようやく話が進んでくれます。冒頭に出た女の子はいったいいつ出てくるのでしょうか。早くおっぱい書きたいです、おっぱい。

 それではまた次回の後書きでお会いいたしましょう。



氷雪うさぎ

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