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中学三年生のヒロキは、朝の小テストを受けた。後ろから答案用紙を集めてくる際、後ろに座る生徒の答えを一瞥して肩を落としていた。
帰りのHR。先生から一人ずつ呼ばれ、朝行われた小テストが返ってきた。点数を見ることなく、ヒロキは手に取った答案用紙を適当なノートに挟み、鞄の中に突っ込んだ。
パッと見て、十問のうち丸が二つしかないのを目で数えた。思った通りだ。まぐれなんてありゃしない。一瞬口元を曲げると、ヒロキは視線を床に落とした。次々と呼ばれ一喜一憂している生徒たちを他所に、名前を呼んでいく先生の声を只聞いていた。
二週間に一度だけ行われる小テスト。四十点以下は赤点だった。点数の足りない生徒は、土曜日の放課後に三クラスを一つにして、追試を受けることになっていた。ヒロキにとっては、恒例のことだ。追試を受けることの嫌気よりも、帰りが遅くなることの方が苦痛なことだった。
二日間学習する時間は与えられているけど、ヒロキは特にしようとはしない。理由は、追試の追試はないからだ。だから、普段通り帰宅後はやりたいことをやって、追試当日を迎えている。
合格するために、学習する必要はない。そもそも、やったところで変わらない。二日で挽回出来るほど、勉強は簡単なものじゃない。百ピース埋めなければならないパズルで例えるなら、今日は二十ピースしか埋められていない。後二問正解すれば、赤点は免れる。その必要はない。追試の追試はないのだから。苦痛だけど耐える。
悔しい気持ちがヒロキにはないよ。そんなことを、塾に通う生徒に言われたことがある。グサッと突き刺さったけど、部屋に戻ってゲームをしているうちに何処かへ飛んでいっていた。そんなこんなで、今この瞬間帰宅したら勉強するぞと誓っても、部屋に着く頃には何処かへ消え失せていることだろう。
名前を既に呼び終え、先生は帰りの連絡事項を生徒たちに向け伝えていた。ヒロキはため息をついて、視線を前に戻した。
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