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久しぶりに街に行きます

 (俺、クロト・アーカイブ、ひょんな事から魔王を倒して、神様に不老不死にしてもらった、超ラッキーボーイ、これで研究しまくれるぞヒャッホー!)


 なんて思った時期が俺にもあった、研究はできる、しかし、しかし……。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ちゅん、ちゅんと鳥の鳴く声で目を覚ます。


「ヴァ~」


 毛布にくるまり、ミノムシのように寝ていた少年が呻きながら起きる。


「朝か……」


 その表情はとても暗い、なぜなら……。


「くっ、誤算だった、俺に幾ら時間があっても……研究対象は有限だ!!」


 そう彼は悠久の時の中で、興味の有るものを研究し尽くしてしまったのである。


「なんて事だ!こんな事になるなんて」


 今日からどうやって生きればいいんだ!と嘆く彼に一つ閃きが起きる。


「そうだ、きょうと……いや、街に行こう」


 決まったら善は急げだ準備をしなくては、簡単に朝食を済ませ、身だしなみを整えるが、ここで問題が発生した。


「街に行く時って、どんな格好してたっけ?」


 不老不死になって以来住んでいるチシャの森に引きこもりっぱなしの生活だ、街に行く服装なんて忘れた。


「うーんとりあえず、一番綺麗なローブでいいか」


 黒を基調とした落ち着いた装飾のローブ、これならそんなに変じゃないだろ。


「いざ、街へ!」


 こうして新しい発見を求め()()ぶりに森を出た。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 森を出て一時間、現在迷子中。


「あっれ~?おかしいな、ここいら辺に街があったはずなんだけど」


 それもそのはず、この世界は魔物が溢れているのだ、命が軽い、故に千年もすれば街が滅んでいる事だってある。


「しょうがない適当に探すか」


 別の街を探す、しかし歩くのはめんどくさいし、街までどのくらいかも分からない、なので移動魔法を使うことにする。


「"フライ"」


 移動魔法はその名の通り移動にしか使えない魔法、だが案外便利なので重宝している。


「よし、レッツゴー!」


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 空を飛ぶこと十数分、街が見えた。


「おぉ、初街だ」


 さっそく入り口を探すと先に人だかりを見つけた。


「何かやってるのかな?」


 近づくと切羽詰まった声が聞こえた。


「おい、……く、ちりよ……」


「で……あそ……ちりよ……かね」


 訂正、聞こえない、怒鳴ってるのは解るが人が多くよく聞こえない、もう少し近づくか。


「くっ、こんな傷どうすれば……」


 やっと見えたのは、血塗れのドレスの少女とその傷を押さえる騎士らしき女性、いや、その傷は押さえるよりも。


「早く回復魔法をかけた方が良いと思うよ?」


「え?」


 騎士が驚いたようにこちらを見上げる、いやいや俺見てないで早く回復魔法をかけろよ。


「うっ、ゴホゴホっ」


「急がないと死にそうだけど?」


(死ぬと蘇生魔法になるからめんどくさいと思うよ?)


「いや、えっと回復魔法が」


 え?ひょっとして使えないの?騎士に回復魔法って必須だったはずだけど、……いや、もしかしたら騎士じゃないのか?鎧好きのメイドって可能性もあるしな。


「と言うか、浮いて?」


 浮いてっていうか地面に水平に飛んでるだけね、移動魔法に驚いてんの?ひょっとして箱入り?移動魔法が無かったら、移動どうしてんだろ、馬車で三日とかざらにあるけど、まぁ、今はいいか。


「ミドルキュアヒール!」


 回復魔法ミドルキュアヒール、ヒールとミドルヒール、キュアを使えれば誰でもできる簡単な合成魔法、傷を直すヒール、体力を回復するミドルヒール、毒などの状態異常に加え血液の失血も直せるキュア、まさに今の状況にぴったり。


「な、何だ!?こんな魔法知らない」


 あ、やっぱり箱入りかな?初歩中の初歩なんだけど。


「それよりベッドで休ませてあげたら?起きるまで地面はさすがに酷いと思うよ?」


「あ、そうだな」


 さて、俺は街の入り口を、ってここが入り口じゃん。


「助けていただき、感謝する」


「いいよ、大したこと無いし、じゃあね」


「え?いや、ちょっ……」


 この街には何があるかな?面白いものあるかな?


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 クロトが街に胸踊らせていた頃、街の入り口にはようやく回復師が到着する。


「お待たせ致しました、直ぐに姫様の治療を!」


「………」


「レイラ様?」


 怪訝そうに訪ねる。


「貴方、階級は?」


「は?いえ、そんなことより姫様の回復を」


「答えなさい!」


「……はっ!上級回復師でございます!」


 怒気を露にするレイラに驚きながら回復師が答える。


「……深い刺し傷の場合、どう治療をしますか?」


「はい!まず傷を塞ぐヒールその後に体力を回復するミドルヒール、最後に血を増やすキュアを()()にかけます……まさか姫様が!?」


「姫様はもう大丈夫です、今はお休み頂いてます」


「そ、そうですか、それは良かった」


(そうだ、姫様は助かった、本来なら順番にかける回復魔法を一瞬でかけたあの少年のお陰で、一体彼は?)


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「久しぶりの街だ」


 クロトが歩きながらキョロキョロしていると、屋台の一つから声がかけられる。


「よう、ボウズ良かったら串焼きどうだい?焼き上がったばかりだぜ!」


「ん~旨そうな匂い、おっちゃん一本ちょうだい!」


「ほいきた、一本で1ニーロだ!」


「ほへ?ニーロ?」


「あ?1ニーロだよ1ニーロ!」


「おっちゃんニーロってなに?」


「おいおいボウズ、ニーロっつったらこれだよ」


 おっちゃんは屋台の後ろから一枚の銅色の硬貨を出してくる。


「あ、あー、銅貨の事ね、いつの間に呼び方変わったのかな?」


「大丈夫かよ、ボウズ」


「平気だよ、これでも金持ちだからな俺」


 何せ森じゃあ金なんて使わないし。


「ほい、おっちゃん」


「へい、まいど!って、んん?」


「ん?どったのおっちゃん」


「おいボウズ、こりゃ使えねぇよ!」


「えー?ちゃんとデリス銅貨だよ?」


「そんな大昔の金が使えるわきゃねぇだろ!ここいら一帯はニーロ硬貨だよ!」


 千年の時の流れの中、国が滅び、地図が変わった、必然通貨も変わっていた。


(マジかよ!?じゃあ今持ってる金は全部ゴミかよ!?)


「金が払えねぇんなら、ボウズ食い逃げだな?」


「あはは、おっちゃん見逃してくれたりは……」


「無理だな?」


「ですよね~」


(あぁ、俺もとうとう牢屋行きか、いや、まてよ?牢屋に入った事なんて無かったな、これは新しい発見が!?)等とクロトが現実逃避をしていると、突然腕を掴まれる。


「うぁ!捕まった!?」


「おぉ、騎士様、ちょうどよかった、そのボウズ食い逃げでさぁ、早く牢屋にぶちこんでくだせぇ」


 だから食い逃げじゃあねぇってんだよ、と、反論しようとした所で気づく、はて?この騎士どこかで見たような?


「はぁ、はぁ、やっと、見つけた」


「あ、さっきの?」


「騎士様?」


「ふぅ、無礼者!この方は姫様の命の恩人であるぞ!」


『え!?お姫様の!?』


 おっちゃんと俺の声が重なる。


「なんでボウズまで驚いてんだよ?」


「いや~助けたのがお姫様だと知らず」


「とにかく、姫様がお目覚めになったので、一度一緒に来てくれないか?」


「うーんでも……」


 このままだと本当に食い逃げだし、と思いおっちゃんの方を見る。


「ん?ああ、心配ないここは私が立て替えよう」


「えー!?いやいや、騎士様から受け取るわけには」


「気にするな、彼を足止めしていてくれたお礼に少し多めに渡そう」


「だってさ、商売なんだから貰っとけよおっちゃん」


「そ、そうですかい?なら、ありがたく」


 おっちゃんはしぶしぶ受け取ってくれた、これで食い逃げじゃあないな。


「ありがとう騎士さん」


「姫様を助けてくれたんだ、こんな事ではお礼にもならないさ、それより早く串焼きを食べてしまってくれ、さすがに串焼きを持ったまま姫様の御前に連れて行く事はできない」


「あ、そうでした」


 騎士さんに言われて急いで食べる、うまいんだが味わう暇がない、今度ゆっくり食べよ。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

串焼きを食べ終わると、騎士さんに街の入り口に連れてこられる、振り出しに戻っちゃったよ。


「レイラ様、お疲れ様です!」


「ご苦労、その後姫様は?」


「はっ!御体の具合は宜しいようです!」


「そうか、良かった」


 兵士が敬礼をする、あー、やっぱり鎧好きのメイドさんじゃあなかったか、となると何で回復魔法が使えないんだろう?


「少年こっちだ」


「あ、はいはい」


 入り口の門直ぐ横、兵士が駐在する為の小屋、小屋と言っても民家よりは少し大きい、その一番奥の一部屋。


コン、コン。


「姫様、レイラです」


「どうぞ?」


「はっ、失礼します」


 騎士さんに続いて部屋に入る、中には十五才位の少女が居た。


「お帰りなさいレイラ、その方が?」


「はい、この者が姫様をお救いした者です」


 紹介され頭を下げる、美しい金髪に控えめだか一目で高価だと判る程のドレス、さすがお姫様、見惚れる程キレイなんだが。


「頭を上げて下さい、一言お礼が言いたかったのです」


 美しのだが、先ほどまで血だまりに倒れていたからか所々血が付いており、若干怖い。


「あの、お話の前に、血を拭いた方が良いのでは?」


「あっ、そうですね、お客様に失礼をしました、レイラ着替えを」


「……申し訳ありません姫様、着替えは逃げる途中に」


「あ、そうでしたね……」


 今、逃げる途中にって言った?厄介事の臭いがするな、でも、落ち着かないんだよな、血まみれのお姫様の笑顔って。


「良ければ、汚れを落としましょうか?」


「え?」


 俺は生活魔法の一つを唱える。


「"ウォッシュ"」


 ウォッシュは汚れを落とす生活魔法、生活魔法は読んで字のごとく、生活に役立つ魔法だ、元は普通の魔法、それを生活が楽にならないかと開発した魔法である。


「ひ、姫様!」


 魔法を唱えるとたちまちお姫様は泡に包まれる。


「大丈夫だよ騎士さん、害はないから」


「ええ、大丈夫ですレイラ、それより見てください!汚れがあっという間に無くなりました!」


「こ、こんな事が……」


 これでやっと話ができる。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「改めて、お救いいただきありがとうございます」


「いえ、大したことはしていないです」


「レイラから聞きました、えっと……」


 そこでお互いに名乗ってないのに気づく。


「あ、クロト・アーカイブです」


「クロト様ですね、わたくしはエリア・ノルンベルト、ノルン王国第二王女です」


 わぉ、王女様だったのね。


「私も名乗って無かったな、レイラ・テンバークだ、気軽にレイラでいい」


「はい、エリア様、レイラさん、私も様はやめてください」


「うーん、では、クロトくんでどうでしょう?さんはちょっと……」


 エリア様が俺の容姿を見て言葉を濁す、何故なら俺の見た目は完全に子供だからだ、これには理由がある、不老不死になってから俺は何とかして歳を取れないか実験してみた、所謂人体実験である、結果は自力での肉体老化は不可、なら次は薬での人為的老化はどうか?結果は見ての通り失敗だ、そもそも老化の薬を一から作らなければならなかった、そして作った結果逆の効果若返りの薬を間違って作ってしまった、それを服用したために子供恐らく十歳位になってしまった、なら今度は老化の薬をもう一度作って飲めば良いのでは?と思うだろ?考えて見てくれ、俺は元々十七歳で不老不死になった、そして薬を飲んで十歳の見た目になった、差は七歳、今度間違えたら三歳児の体に成るかもしれない、そんな事に誰が挑戦すると思う?しねぇよ


「エリア様、これでも私千年位生きているんですよ」


『千年?』


 エリア様とレイラさんが顔を見合わせる、次の瞬間二人は吹き出した。


『ぷ、あははは』


「お二人供?」


「あー、すまないクロトは冗談が上手いな」


「そうですね、ふふふ、千年なんてまるで不老不死じゃないですか」


「いや、不老不死何ですけど」


 そう答えると、二人はまた笑いだした、これはダメだな信じてもらえそうにない。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 二人が笑い終わるのを待ち改めて話をする。


「はー、こんなに笑ったのは久しぶりです」


「姫様、ふふ、笑いすぎですよ?」


「あら、レイラだって、ふふふ」


 まだ笑ってるよ。


「それで、お礼を言いたかっただけですか?」


「あ、いえ、良かったら何かお礼を差し上げたいのですが……」


「我々には今手持ちがないんだ」


「あー、さっき襲われたみたいなこと言ってたもんね」


「はい、ですので宜しければ後日何かをお送りしましょうか?」


「うーん、そうだ、良ければ何か稼げることないかな?」


「稼げること?」


「そう言えば、なぜ串焼きを買えなかったのだ?」


「実は……」


 不老不死関係を外して、今までの経緯を説明する、不老不死って言うとまた笑いだすからね、そこら辺は暈し暈し伝える。


「まぁ、じゃあクロトくんは森で一人で……」


「そうか、何が有ったかは知らないが、辛かったな……」


 あ、なんか悲しい子扱いされた、まぁいいか。


「分かりました、では、宜しければ冒険者ギルドをご紹介します」


「冒険者ギルド?」


「姫様、しかし」


 冒険者ギルド、初めて聞いた、千年前にはそんな物無かったけど。


「大丈夫ですレイラ、登録はここで行うだけですから」


「姫様?ああ、そうゆう事ですか、畏まりました」


「では、行きましょうか」


 あ、行くの決定なんですね。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 エリア様とレイラさんに連れられ街の中心部に来る、一際でかい建物に入るとそこでは殺伐とした雰囲気があった。


「どうするんだ!このままじゃあこの街は……」


「そうならない為に、今話し合いを」


「話し合って解決するの?」


 大きい声で怒鳴り合う若い男女四人と、難しそうな顔で腕を組考えるハゲのオッサン一人。


「皆、待たせました」


 そこに切り込むエリア様、とても俺の話する空気じゃあないね?


「姫様、レイラ様も!」


「すまない待たせた、で、状況は?」


 あー、やっぱり蚊帳の外になった、それはもう秒で、仕方ない元々俺はついでだったんだろう、邪魔するのも悪いし適当に見学してよ。


 エリア様達の邪魔にならないように、建物ギルドだっけ?の中を見て回る、すると掲示板に貼られてる一際大きな張り紙に目が行く。


「えっとなになに、『急募!水高額で買い取ります!』水?水って飲む水?うーんよくわからん?」


 張り紙を見ながら首を傾げていると、それに気づいた女性がカウンターから出てくる。


「どうしたのボク?」


「うん、あ、ちょうど良かった、これどうゆうこと?」


「ん?ああ、これね、実はこの街は水不足なの」


「水不足?」


「そう、大きな声で言えないけど、備蓄の水がもうすぐ底を尽きそうなの、水源に異常があるらしいから他の街もいっぱいいっぱいでかなり厳しいってうわさよ?ほら、だからあそこに見える方たちが来たのよ」


 そう言って女性が指差す方にはエリア様達の姿がある、一応身内ですが。


「じゃあねボク、あんまりふらふらしたら危ないよ」


 頭を撫でられる、この歳になって撫でられるのもなかなか……、おっといけない邪念が入った、でも水かそれなら、あ、でも樽がない、樽売ってないかな?


 女性が戻ったカウンターに行く、……ちょっとこのカウンター高くない?ぎりぎり頭が出るくらいなんだけど?何とかよじ登る。


「あ、よじ登ったらダメよ?」


「ねえお姉さん、使ってない空の樽ってない?」


「え?あるけど」


「じゃあ一個貰えない?」


「うん、良いわよ?待ってて」


 お姉さんはカウンターの裏に行ってしまう、暫くすると少し小さめの、お姉さんが抱えられるくらいの樽を持って来る。


「お待たせ、これでいいかしら?」


「……これしか無かったの?」


「ボクが持てる位なのはこれしか無かったよ?」


 完全に子供扱いか、良いだろう、子供嘗めたらどうなるか思い知らせてやる!


「じゃあこれ貰うね、お姉さん」


 なるべく可愛らしく、無邪気そうにお姉さんから樽を受け取る。


「イタズラしちゃダメよ?」


「はーい!」


 樽を床に置き、魔法を唱える。


「"クリエイトウォーター"」


 浮かび上がった魔方陣から樽の中に並々と水が注がれる、近くで微笑ましそうに見ていたお姉さんの目が点になる。


「このお水、買い取って下さいお姉さん」


 俺は満面の笑顔でお姉さんに樽を指差す。


「え、ええぇー!!」


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

お姉さんの絶叫は思った以上にギルド内に響いた、その声に難しそうに話をしていたエリア様達も近づいてくる、どうだ!子供蔑ろにするとひどい目にあうんだぞ!?


「どうしたんだメリー君」


 ハゲのオッサンがお姉さんに声をかける、お姉さんメリーって言うんだ。


「あ、えっとギルド長」


 オッサンギルド長!?長って一番偉い人?


「落ち着きなさいメリー君、この水はなんだい?」


「あ、はい実はその子が……」


「子供?迷子かい?それとも御使いかな?」


「あ、ギルド長彼はわたくしが連れてきたんです、ごめんなさいクロトくん、もう少し待っていて下さい」


「え、ええぇ、お姫様のお連れだったの!?聞いてないよ~」


 メリーさんが恨めしそうにこちらをにらむ、だって聞かれてないし。


「メリー君、それでこの子とこの水に何の関係が?」


「は、はい!この水は彼が出したんです」


「この子が?君良いのかい?確かにこの街は水が無くて困っているが、さすがに子供から貰うのは……」


「ち、違うんですギルド長!この樽は元々ギルドの物で、この子手から水を出したんです!」


 あ、メリーさんからは角度的に手から出たように見えたんだ。


「手から?まさか……」


 そこでレイラさんは何か思い付いたみたい。


「クロト、君は水が出せるのか?」


「出せるよ?魔法で」


「魔法で?それじゃあダメだ、魔素が強すぎてとても人の飲める物じゃあない」


 ギルド長が、がっかりしたように言う、だから子供嘗めたら痛い目見るぞ?


「魔素なんて抑えればいいだろ?」


「はぁ、少年、魔法をあまり知らないみたいだな?そんな事できる人間居ないよ」


「じゃあ、あの水調べてみたら?」


 樽の中の水を指差す。


「ふん、良いだろう、メリー君試験紙を」


「は、はい!」


 試験紙?測定器じゃあ無く?


「これは試験紙と言って、水に浸すと色が付いてどうゆう用途に使うのが一番か直ぐに判るようになっているものだ」


 ほう、便利だな、あれ欲しい。


「浸すぞ」


 ギルド長が紙を水に浸す、すると白の紙が瞬く間に水色に変わる。 


「で、結果は?」


「し、信じられない、この水は人が飲むのに最も適した水だ」


「す、すごいわクロトくん」


「これなら水問題も解決するぞ」


 喜ぶ大人達、ここで上げて落とす。


「あ、売るのはこの一杯だけね?」


 喜んでいた全員が一斉に固まる、よしよし、しっかり落とせたみたいだな、良かった良かった。


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