プロローグ
「あんたもバカだよな、わざわざちょっかい出さなければ、こんな事にならなかったのに」
おそらくもう聞こえていないであろう、だが、ぼやかずにはいられなかった、それは長い旅が終わった故か、はたまた感慨に耽っていたのか。
「まぁ、何はともあれこれでゆっくり……うん?」
立ち去ろうとしていたはずが白い空間に移動していた、強制転移?でもいったい誰が?
(ようこそ、神の御前へ勇者よ)
「神?」
(はい、神です)
どうやら自称神らしい。
(ひどいですね)
「で、自称神が何のよう?」
(あ、隠すの辞めましたね)
「無断だからな」
(そうゆう所好きですよ?好感持てます)
「で?」
(あ、はいそうでした、ゴホンッ、貴方の功績を称えて褒美を授けます)
「いらない」
(望みを……え?今なんと?)
「いや、だからいらないって」
(いえ、でも、あなた魔王倒しましたよね?)
そう長い旅の終わり、つい先ほど俺はついに魔王を倒した。
「倒したな」
(ですので褒美を……)
「でも俺、勇者じゃないよ?」
俺は勇者じゃない、俺は………。
「ただの研究好きの魔法使いだよ?」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(え?いや、いや、ただの魔法使いが何で魔王を?)
どうやら自称神は俺を勇者だと思っていたらしい、何で神なのに知らないんだよ。
(か、神だってずっと見ている訳じゃないんです!ちょっと目を離している隙に魔王が倒されていて、慌てて来たんです!だから説明プリーズ!)
「あー、ハイハイわかりました、ある日住んでる森に作った家で魔法の研究してたんです」
(うん、うん)
「そしたら、魔王軍の四天王?の一人が来て」
(うん、うん)
「魔王軍に入れ~って言って来て」
(うん、うん)
「うざかったんでサクッと魔王倒しました」
(うん?)
「以上です」
(いやいや、話が飛んでます!その過程は?)
「過程より結果が大事だと思うんですよ」
(研究者がそれでいいんですか!)
神様ってツッコミ属性だったんだ、何か感動。
(この状況で何くだらない事に感動してるんですか!?)
「そろそろ帰っていいですか?」
(マイペース!?)
いや、ぶっちゃけ帰って研究に戻りたい、その為に魔王倒したんだしさ。
(……わかりました、でも褒美は受け取って貰えませんか?一応ルールなんで)
それどこのルール?うーんでもなぁ。
(あ、わかりましたでは褒美に不老不死にすると言うのはどうですか?)
「不老不死?」
(はい、死なないからどんな過酷な研究も出来ますし、歳を取らないんで時間を気にせず研究が出来ます)
「な、なんだって」
(あ、やっぱりダメですか?)
「研究し放題、最高かよ!」
(あ、いいんですね)
これで魔法だけじゃなく、魔物や薬草なんかの研究も極限までできる、最高以外何物でもない!
「なります、不老不死になります!」
(では、褒美は不老不死で)
「はい、ありがとうございます、神様!このご恩は明日まで忘れません!」
(………なぜ明日まで?)
「明日から研究始めるんで」
(……そうですか)
こうして俺の研究ライフが始まるぜ!!