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暗躍するデカい者

忙しい、書けない、文章が出ない

という感じに遅れました……。

なるべくなら更新速度を戻していけるように頑張ります。

本当に申し訳ありません。

【      ☆      】


 第一区分街某所。

 ここは、ロストと呼ばれる者達が集まる場所。

 ロストというのは、この世界におけるデュエルを管理するため、他種族から選りすぐりの強者を集めた現神の側近のこと。

 彼らは現神に歯向かう勢力を潰すために、一度出してしまえば戦況が一瞬で変わってしまうほどの札、ロストカードを所持し、世界の……いや、現神の均衡を保ち続けている。

 そんなここは絶対強者達が集うために設けられた豪華な作りの場所だが、今はそのほとんどが集結することはない。

 それはなぜか?

 彼らは探しに出掛けたからだ。

 現神に徒なす存在を。


 そう、それはつい最近のことだ。

 あの貿易権を失われてこれから廃れると思われていた第三区分街のロックフォード。

 そこに街の路地で蹲っていたマスターカードが、とある転生しこの世界に現れた黒猫と手を組み、現神を倒そうと目論んでいるらしい。

 その黒猫がただの黒猫ならよかったのだが、そうもいかなくなってしまったのだ。

 彼らはたった10枚のデッキで、40枚のデッキを詰み状態まで追い込んでいる。

 そのデュエルこそ無効試合になったが、今まで負け続けていたあのマスターカードをこうも変えてしまうあの黒猫のデュエル知識は本物だ。

 そして極めつけは、コスト10以上の召喚札を所持しているということ。

 ロストカード以外で、そのコストを超える札はこの歴史上刷られたことはないため、現神は彼らを大きく危険視した。


 そうして、あの凄惨な罪ひっ被せ事件へと至る。


 ところで、先ほどロストは集結していないと言ったが、実はロストメンバーの中に、ある者に言われてこの某所に残った者がいる。

 そいつは、今回の事件の張本人と仲が良く、一緒に悪だくみをすることが多い者だった。


「えぇ……そうダス」


 広い廊下の端で、誰かと会話をする大柄な男が一人、ここに。

 そして、そいつはある写真を一枚手に収めていた。


「どうやらこいつ、あの事件の真犯人を炙り出そうと動いているようダス……どうしやしょう、消すダスか?」


 恐らく、会話の相手に写真の映像が伝わったのだろうか。

 しばらくして、男の物騒な言葉とは裏腹に、意外そうな答えが返ってきたようだ。

 男はそれに対して目を丸くする。


「えっ、しかしいいダスか? 確かに目的とは違う行動をしているように見えるダスが……一応それでも事件の真相を追っている者ダスよ?」


 会話の相手は、ブツブツと男に話す。


「そ、そうダスか……そいつは困ったダス……はい……はい……何を言っているダスか、オラとあんた様の仲ダス、可能な限りなんとかしてみるダス、絶対一緒に見返してやるダスよっ! んっ、任せるダス、ではそっちの仕事も頑張るダス」


 通路に小さく響いていた会話相手の声は、そこで途切れた。


「むむむ……」


 男は、その一つしかない大きな目から上に、伝うほどの汗を掻きながら後の事を試行錯誤する。


「このままではマズイダス……どちらに転がってもアウト、下手をすれば現神様がオラやガロンを消しかねないダス……」


 そう、彼の会話相手はガロン。

 そしてこの男は、ロストナンバー6、サイクロプスのギガイル。

 本来であれば、彼も現神を倒そうとする者達及び、放火魔の容疑者であるウィズと淳介らを追っているはずだった。

 しかし、そうもいかなくなってしまった。

 あのセリーヌという存在。

 どうやらウィズと淳介らは、仲が良くなった連中を全員逃亡に同行させたわけではなかったらしい。

 しかしよりにもよってというものだ。

 まるでそれは、ハンデスをし続け、あと一歩で勝利というところで、トップ解決(ターン最初のドローカードを使っただけでデュエルの状況が逆転すること)されたような焦り、憤り。

 だが、まだ勝敗が決したわけではない。

 彼はこう思っている。


――――トップ解決はされたが、ターンはこちらに回ってきている、と。


 彼女らが事件の真相にたどり着くまでは程遠い。

 所詮、一つターンが背伸びしただけ。

 だったら、先に手を打てばいい。


「そろそろ仕事の時間ダス……その時にこの話をあの子に……」


 セリーヌとかいう貴族の当主はあの調子だ。

 恐らく、探偵なんてことはやったことがないに決まっている。

 哀れなものだ。

 街の探偵にでも頼めばよかったものを。

 しかし、ギガイルはハッと気が付いてニヤリと笑う。


「あぁそうだったダス……あのウィズとかいうのは、ロックフォードじゃ嫌われ者だったはずダスな……そりゃ探偵雇ってもその事件が嫌われ者なら、頼むこともできないダスな……」


 少し開き直ってみれば、少し驚くようなことをされただけ。

 よく考えると、自分は相手より一手先をいっている。

 そう思うだけでギガイルは、自分より馬鹿がいるのだと安心する。


「ぐっふっふ……先回りしてしまえば、もう事件を追うことは出来ないダスな……」


 そうほくそ笑むギガイルは、ぱっつぱつの作業着に着替えると、ドスドスと足音を立ててどこかへ向かっていった。


 

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