1 あかい実をくらう
ある日、見つけたあかい実さん。
まっててね、絶対に食べるからね。
もしゃ……。
もしゃ……。
ぼくはスライム。
いま食事中だから手が離せないよ、ごめんね。
もしゃ……。
もしゃ……。
もぐもぐ……。
【数分後】
あー、おいしかった。
ひさしぶりに美味しいご飯を食べたよ。
みずみずしく甘い、あかく熟れた果実。
たかいたかい木の上にぶら下げられたそのフルーツは、ぼくに誘惑をかけるかのように風にその身をゆらしていた。
そりゃ、はじめて見つけた瞬間は天にものぼるような心地だったよ。
だけどすぐに自分が食べられないことには気がついたの。
だって、たかすぎて届かないもん。
もし届くのなら、すぐにでも全部食べ尽くしちゃっただろうね。
暴食スライムたんになっちゃったよ。
でもね、僕がいま食べてたのは、いま言った木の実なんだ!
なんどもなんども飛び跳ねて、飛び跳ねて、それでも届かないことを毎日かなしく思ってたんだけど、これも運だね!
めったに強い風の吹かないこの辺りだけど、昨日の夜はびっくりするくらい強い風が吹いてたんだ。
だから、そのときに思ったのさ。
"もしかしたら、あのあかい果実が落ちてるかも"
ってね。
ぼくの予想はまさかの的中!
木に実ってた果実の、たぶん半分くらいが地面に落ちてたの!
もしかしたら、風なんてなくても熟れてそのまま落ちてきたかもだけど、食べれたからいいの。
鳥さんみたいに空を飛べたら、毎日あのあかい実を食べれるのになぁ。
……これからも、あのあかい実が無くなっちゃうまで、落ちていないか毎日見にいくよ。
1000字未満でサクサク書きます。
スライム視点なので日記みたいになるかも。
不定期更新です。