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地を舐める赤焔。
天を埋める黒煙。
赤と黒の天地の狭間に立つ甲冑の騎士へ向け、悪い冗談のような超巨大ミサイルが発射される。
まるで古い児童向け漫画のごとき状況にあっても。
長剣を携えたその偉容、揺るぎなし。
跳躍。
全身を甲冑で鎧っているとはとても思えない身軽な動き。
重力が失われたかの如く。
騎士は宙空でくるりと回る。
サッカーで言うところのオーバーヘッド・キック。
中国拳法で言うところの夏潮蹴。
超巨大ミサイルの下腹、軽く撫でる騎士の蹴り。
超巨大ミサイルはゆっくりと反転し、その進む向きを逆方向へと変える。
反転に従い、くるりと回った甲冑の騎士。
超巨大ミサイルの真上に立つ。
「おー。」
ノンストップが感嘆の声を上げ。
パチパチパチと拍手を贈るが。
彼方より、此方。
腕組みし、仁王立ちする甲冑の騎士を乗せた超巨大ミサイルは。
今度は発射源である彼ら3人の元へ向かってきている。




