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「見える、全てが。」
止まらない男。
ノンストップ・ラヴェンダーが両手を拡げ、電灯の光を恭しく浴びる。
その目には何が見えているのか。
世界のすべてが見えているのか。
宗教家のように厳かに、電灯の点いた部屋を見渡す。
「是、電灯が点灯いたからな。そりゃあ程佳く視認えるだろうぜ…しかし此様ゃ動何したことだ。」
長髪のスナイパー。
常に沈着冷静なはずのターゲットが、驚きを隠せず顔に浮かべる。
部屋の中は乱雑に荒らされ、崩れた本棚、割れたフラスコ、ひっくり返った文机。
必要以上に今しがた、『賊』の入ったばかりですと。
そう言わんばかりの状況を、力の限りに主張している。
「…眼鏡。」
「ええ、ご想像の通りです。やられました、僕の欲しかったデータがまるっと奪われてます。」
眼鏡のエンジニア。
ラジオコントロールが眼鏡をクイッとやる。




