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「何よ…ちゃんと覚えてたんじゃない。」
向かいの方が、困ったように。
困った笑顔を浮かべています。
ええ、眼鏡は今思い出したのですが。
それを言うと、ふたたびきぃっ!の。
きぃっ!のパワーが充填されて、話が進まなくなってしまう。
話数にして既に7回。
リアルな時間で10日を費やしこうして、ファミリーレスで喋り続けて。
いい加減本題に入らないと眼鏡は家に帰れませんから。
黙っているのが賢明でしょう。
眼鏡は眼鏡をクイッとやります。
「で、どうなのそっちは。相変わらずかしら?」
ええ、相変わらずですね。
眼鏡は毎日相変わらずに、毎朝9時に出社しまして。
電話をとって、PC打って、悪いと思っていないのに謝っています。
早く帰りたいです。
「本当に相変わらず過ぎて言葉が出ないわ。もう少し話を膨らませる努力をしなさいよ…私ね、今度、本社に戻ることになったの。」
はい。
おめでとうございます。




