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「よかった。口をきいてくれないのかと思ったわ。」
隣臨の席から零漏れる微笑。
そしてふたたび、凪がれる沈黙。
再度、俺の手番であるが。
さて、なんと答選たものか。
そうだな。
相槌うつのは容易。
あぁ。
一言ですますのは容易。
正直なところ、「そうだな」「あぁ」以外に答画はないが。
他の選択肢を探肢しているのは、やはり隣席にいる客人に。
特別な感情を抱いている。
そういう事であるのだろうか。
らしくないぜと苦笑い。
俺の口唇から発声た答獲。
この店は。
この店はという意外のひとこと。




