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「進捗ねえ。快調だったんだけどねえ、ほら、作業員くんたちもぜんぶピコンピコーン人間にしちゃってミスも出ないしサボらないし、能率もすごい上がってたんだけど。ああ、うまくいってたのにどうしてミサイルなんて撃ち込むんだい。誰がいったい撃ち込むんだい。困ったねえ、困ったねえ。」
挙手をした大柄な人影ではなく、小太りの影が質問に応じる。
ひとつひとつの言葉のあとにたぷたぷたぷと顎の肉の、震える音がリズミカルに響く。
「あ、ごめんなさい。」
〈当番〉の男の殺意の込めた視線を受け、小太りの影がすごすごと縮む。
この小太り。
あくまで挙手をしてから話すつもりはないようである。
「まあ、そちらの進捗はそうでしょうが。そうではなく、『動力』の方の進捗はどうなっているのですかな。『入れ物』の方は言ってしまえば、どうにでもなるものですからなあ。」
闇の中。
穏やかな声が話を進める。
〈当番〉の男が机を叩く。




