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「ピコンピコーン、ピコンピコーン。」
看守のやつが光っているな。
そうだな、そこは右へまがれだ。
右へまがれ、と言うかわりに、看守のやつが光っているな。
「ピコンピコーン、ピコンピコーン。」
うしろのやつが光っているな。
そうだな、ここは右へまがれだ。
右曲がります、と言うかわりに、うしろのやつが光っているな。
なんでもかんでもピコンピコーンと、最初と最後のやつが光って。
なんでもかんでもそれでおわりだ。
ちゃんとやらなくていいのか。
軍刑務所でも戦場でも、ちゃんとルールをまもらないと。
まもらないといけないんじゃなかったのか。
ずいぶんいい加減になったんだな。
こんないい加減なことをしていたらだめなんじゃないか。
だめなんじゃないかと俺は思う。
「うーん、なんでもかんでもピコンピコーンで通じるのはねえ、便利なんだけどねえ。」
そら。
看守長のやつが怒りにきたぞ。