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月明光。
夜空に真円の輝夜月。
宵闇の帳、灰色の路面。
巨大きい者、矮小さい者。
凸凹伸びる不揃い5つの影法師。
5人の視線の集まる先に、城郭と見紛う豪奢な御殿。
嵐の前の静けさに。
鎮静と佇む、古代遺跡の神像が如く。
頑く重く、聳え立つ。
闇なお深き、秋の夜。
「対人地雷がぐるり一周、奥の鉄扉には高圧電流。人感センサーで作動する機関銃に加え、ご丁寧な事に機械人形まで巡回しています。ちょっとした軍事要塞といったところ…ですね。殺す気満々ですよ?」
タッ、タッ、タッと。
得意のタブレットを操作りながら。
眼鏡が眼鏡をクイッとやる。
ほう。
それはそれは、宅配便屋が困るんじゃないか。
仕事の前にはいつもの軽口。




