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夏の朝焼け、日の川辺。
淀んだ河がのったり流る。
進んでいるのかいないのか。
人の世の。
刻の流れを現すように。
朝日の紅を反射させ。
きらきら金色川面に映し。
底には曇った汚泥が沈む。
夜中と夜明けの切り替わり。
夏の朝の、夜明けは早く。
川辺に人の影はなく。
ここから長い今日がはじまる。
また今日も長い今日がはじまる。
時の流れに逆らうように。
川上りゆく汽船が一隻。
ポンポンポン。
宇宙時代にそぐわない。
間抜けな汽笛鳴らしつつ。
古びた汽船は川上へ進む。
水の流れに逆らい進む。
赤茶けた。
崩れかけた、甲板に。
痩せた男が寝そべっている。
ボンワリ宙の何かを見つめ。
ブツブツブツと呟いている。
蒸気船。
そは過去からの来訪者。
思い出の中にいたはずのもの。
古びた汽船が川上に去る。
時の流れに逆らい進む。
ぇ、アイスクリームはぁ、いらんかねえ。
アイス、クリームぅ。