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「自称、超一流凄腕のスナイパーで、狙った獲物は逃がさないと有名なんだそうだけど…さすがに、ねえ。衝撃波が撃たれた一瞬に生じる真空状態の合間を縫って、空気抵抗ゼロで全力攻撃直後の無防備な身体に着弾させるなんて…ましてや、ねえ。反作用を利用して、加速させた銃弾で無敵のサイボーグボディに拳銃で致命的なダメージを与えるなんてねえ。人間業じゃないでしょ、ねえ。いくらなんでも『空気が読め過ぎてる』でしょ、ねえ。」
小太りの男はねえ、ねえ、と。
救いを求めるように訴えかける。
「ふわ。」
その仕草が可笑しかったか。
はたまた軽く聴き流したか。
大柄な男は空気の漏れるような音を立て、小太りの男を鼻で笑う。
この二人。
目に見えている様子がどこまで。
どこまでが冗談、どこまでが演技。
そして、どこに本心があるのか。
思考と感情の読めなさの点で、互いに通じるものがある。