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歪んだ空気の流れが戻って。
歪んだ時間の流れが戻って。
昔のあいつは今のあいつに。
サイボーグ部隊のあいつから。
軍刑務所の隣のやつに。
俺の隣を走ってたやつに。
隣のやつに、戻ってて。
隣のやつが血を吐いて。
ごぼりとあいつが血を吐いて。
よろよろよろと足がもつれて。
ゆっくりと。
後ろにむかってたたらを踏んで。
ああ。
そっちに倒れたら危ないんじゃないか。
そっちには高架の外側だぞ。
その柵を。
越えたら下に落ちてしまうぞ。
そっちに倒れたら危ないんじゃないか。
危ないんじゃないかと俺は思う。
「あ、あ、あ、あい。アイス、クリーイ、むう。」
隣のやつはゆっくりと。
ゆっくり後ろに倒れてく。
高速道路の柵を越え。
まばゆい都会の星の海。
輝きの中へと落ちていく。
「ワンショット・ワンキル。任務完了だな。」
俺の頭の上に乗ってる。
オバマの窓から長髪が言う。