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激しい風が吹き抜けていく。
俺を通して吹き抜けていく。
衝撃波の暴風だ。
あいつの起こした暴風だ。
あいつの拳の起こした風が、俺のからだを吹き抜けていく。
きのうから今日へ、今日からあしたへ。
時間がながれていくように。
あいつの風が吹き抜けていく。
なんで風にたいしてそんなことを思うのかな。
風と時間は何も関係ないのにな。
なんでかなと俺は思う。
ちいさな鉄のカタマリが。
あいつに向かってゆっくり進む。
俺とあいつの間を進む、空気の渦の間を進む。
そうだ、間だ。
俺とあいつの間には、何もないがらんどうの空間があるはずなんだ。
あいつが撃った衝撃波。
空気の渦が俺に向かって、逆回転で進んだあとに。
一瞬うまれる真空状態。
難しいことはよくわからんが。
衝撃波を撃ったあとには、あたりの空気がなくなって。
がらんどうができるはずなんだ。