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いかにも金持ちめいた成金趣味。
中世の。
城郭を再現したような豪奢な御殿。
応接間の中央に鎮座した、肥り肉の男がその豊満な身体を揺らして高らかに笑う。
「ザッハッハッハッハ。君も心配性だねえ。我が家の警備システムは万全、ちょっとした軍事要塞並みだ。わざわざこんなところへ押し入るのは、よっぽどの馬鹿かカボチャくらいのもの。君のご贔屓のチンピラくんたちなぞ、門も潜れずに泣いて帰るに違いあるまいよ。」
ザッハッハッハッハ。
豪快に。
向かいに座る美女へと大口をあけて笑ってみせる。
変な笑い声である。
「それに。万一備えて、『こういう方』にも来ていただいている。」
男はそのたぷたぷと肉の余った顎で、斜め前の人物を指し示す。
「ハー!」
『こういう方』。
そう呼ばれた男が奇声をあげた。
「ミーハセカイイツウデノタツ、ヒットマンネ!ハー!」
変な男が変な言葉を喋る。
変な男である。




