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「いいねえ、うーんこの風!この肌触りこそ戦場の風よ!」
馬鹿のほうの馬鹿の方がなにか言っていますが。
いったいあなたの人生にいつ、戦場の風を感じる機会があったというのでしょうか。
とりあえず。
風が吹き込んで寒いので、窓を閉めてもいいでしょうか。
「ハッシャシマス?」
隣の席に座っておられる、ロボットの方が眼鏡に聞きます。
ええ、いいんじゃないですか。
発射してください。
「ハッシャシマス。」
ロボットの方の背中からなにか、小型のロケットが発射されます。
ロボットからロケット。
無駄に韻を踏んでいるのが悔しいです。
小型のロケットは車内を進んで、運転席の脇のボタンに。
コッチと当たって床に落ちます。
ウイーインと音を立て、せりあがってくパワーウィンドウ。
窓ひとつ閉めるのに。
ずいぶんとまた、大掛かりでしたね。
いえ、お気遣いありがとうございました。
眼鏡は眼鏡をクイッとやります。