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「…彼一人で?ですかな?」
大柄な男は足を止め、意外そうに小太りに尋ねる。
「彼は唯一の『成功例』だからねえ…いや、むしろ彼の方が失敗例なのかな?まあいいや。とにかく彼に任せておけば今日中にでもどうにかしてくれるから、大丈夫なんだよねえ。」
小太りの男は首を傾げ、やや上の空で質問に応える。
大柄な男は訝しげに、小太りの男の背中を睨む。
「しかし…例の5人のギャング君たち。例によってピンポイントで、見事に僕たちの邪魔をしてくれるよねえ?」
「そうですなあ。まるで身内にメンバーでもいて、そこから情報が漏れているかのような筒抜けぶりですなあ。」
ザッハッハッハッハ。
小太りの男と大柄な男は声を同じにして笑う。
「…今日の定例会議もうまくごまかして、粛正されないようにしなきゃねえ。」
「そうですなあ。」
小太りは気づいているのかいないのか。
大柄な男はともに歩まず、その足を止めたままである。