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こいつどうも、本格的に。
妙な事になってきた様だな。
昨晩。
居間で吐いた同じ科白を。
今夜は独り、呟きながら。
手元のグラスを口へと運ぶ。
眼線をテレビに注目たまま。
無意識に上げたコーヒー茶碗。
咽下した謎の鹿尾菜汁の味が甦り、思わず咳込む。
燻る紫煙。
空気を揺らす、スロー・ジャズの奏べ。
23時のプール・バー。
今夜の琥珀は邪垂と辛い。
刺くれた心を映しているのか。
伽藍。
入店を告げる扉の鐘の音。
店内の空気の流れが変化わる。
振り向いて。
確認かめるような無駄はしない。
来るであろう事は既知っていた。
至極の当然、自然に。
カウンター席。
隣に座居る、薄着の美女。
今宵。
カクテルのグラスは、出てこない。




