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日々使われる側の眼鏡としては。
あまり気軽に自販機や、携帯電話や部下なぞを。
使うことに慣れないで頂きたい。
切にそう願うのですが。
眼鏡の願いは届きません。
「え…ああ、なるほど。それはたしかにまずいことになったね。」なぞと、携帯電話のキャッチした。
電波の向こうの相手に夢中で、眼鏡の念波はアンキャッチブル。
この手の鈍感さというのも、組織の中で上に行くには必要なのでしょう。
眼鏡は眼鏡をクイッとやります。
おや。
自販機を使いたい方がなにやら、携帯電話を使いながら。
眼鏡の方へと歩み寄ります。
なんでしょう。
眼鏡の念波をキャッチしたのでしょうか。
案外高性能な携帯電話だったのかもしれません。
「すまないが…。そこを空けてもらえないだろうか。外に出られないんだが。」
え、ああ、なるほど。
それはたしかにまずいことになっていますね。
休憩エリアの扉の前に、念波を発する不動の眼鏡。