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眼鏡の会社は何事もなく。
まったくもって、いつもの通り。
平凡な朝を迎えていますが。
この会社。
前日の晩に賊が入ろうが、社長が暴徒に襲われようが。
ライバル企業の社長宅の、周辺3キロがミサイルによって。
跡形もなく消し飛ぼうが。
次の日にはまた、いつもの通り。
平凡な朝を迎えています。
業務に差し支えないのであれば、特にまったく問題ない。
クライスラー社の社訓のその4。
宇宙時代を生きぬいてきた。
合理的な経営の方針です。
ましてや今回。
賊の奪っていったのは、表向きには差し入れの。
たかだかおやつのアイスクリーム。
少なくとも、表向きには。
大事になろうはずもなく。
この合理的な一大企業。
まったくもって、揺るぎなく。
平常運転で進んでおります。
ごくありふれた、眼鏡の朝です。
眼鏡はほとほとウンザリですが。
それでも眼鏡が会社に来たのは。
唯一つ。
一つの希望があるからです。