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「…その、一酸化バリトンニューム情報素による伝達システム…仮に今後さらに精度を上げ、効果範囲の拡大も実用的な範疇で望めるのなら…これは情報伝達の革命どころではない、社会のシステムそのものが変わるぞ。我々、僅か14人で全宇宙を裏から支配しているという噂の宇宙海賊組織、通称『フォーティーン』。結成以来夢描いてきた、究極の管理社会の実現も不可能ではない。」
「非支配者たる愚昧な民衆どもへ一酸化バリトンニューム情報素を通じて指令を与えることで、支配者たる少数の管理者が完全に社会を統制するシステムを構築する…と、いうわけだな。」
「だがどうする。いくら愚昧とはいえ朝のコーヒーのかわりに一酸化バリトンニュームを嗜むような馬鹿者はさすがにおるまい?一酸化バリトンニューム情報素を全世界規模で地球人類の体内に蓄積させる方法、考えねばなるまいぞ。」
降って涌いたる悪の僥倖。
暗闇の中でざわめきは続く。