680/1502
7 - 32
「発言は挙手してからお願いします。」
例によって例の如く。
「本日の議題」の提示を中断された形の<当番>の男が、棘のある声を小太りに投げる。
小太りの影が怯えたように素首を竦め。
その反動で肉の余ったシルエットが、たぷんと一回大きく揺れる。
「一酸化バリトンニューム情報素を用いた新世代型情報伝達システム…親機の発した命令が、一切のタイムラグなしに子機に伝わる…でしたかな?前回の騒動で、必殺!五人のハンサム団!…でしたか。件の彼らが暴走させたロボットが、都内の一酸化バリトンニューム触媒を使用しているありとあらゆる機械類…自家用車から戦車に飛行機、ブリキにタヌキに洗濯機、じじい、ペンギン、パトリまで…アッという間に支配下に置いてしまったのは、ソレを実用的なレベルで運用していたからだと聴いていますが。」
闇の中。
円卓の一角から、穏やかな声が話しかける。