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「ピコーンピコーン、ピコーン!」
看守の号令で、他のやつらが右を向いたな。
やっぱり右向け右か。
「ピコーンピコーン、ピコーン!」
看守の号令で、他のやつらが前に進むな。
やっぱり前へ進めか。
あんがいピコーンピコーンでも通じるものだな。
通じるものだなと俺は思う。
「ピコーンピコーン!ピコーンピコーン!!」
なんだ。
今度は何を怒っているんだ。
ピコーンピコーンじゃわからんぞ。
おい、腹が減ったぞ。
「ぇ、ソニックぅ君、ソニックぅ君。ぇ、食堂にぃ、行くぅみたいだぁよぉ。ぅえ、前にぃ、進まないとぅ。」
そうか。
隣のこいつは親切だな。
変なしゃべり方だが親切なやつだ。
親切なやつだと俺は思う。
「ピコーンピコーン!ピコーン!!」
なんだ。
看守のやつはまだ怒っているな。
ピコーンピコーンじゃわからんぞ。
こいつは不親切なやつだな。
不親切なやつだと俺は思う。
おい、腹が減ったぞ。