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ぇ、アイスクリームはいらんかね。
ぅあまくてつめたい、アイスクリームぅ。
ぇアイスクリームはいらんかねぇ。
夏の夕暮れ、陽の川辺。
淀んだ河がのったり流る。
進んでいるのかいないのか。
人の世の。
刻の流れを現すように。
夕陽の朱を反射させ。
きらきら橙々川面に映し。
底には曇った汚泥が沈む。
河川敷。
宇宙時代のこの世にあっても。
ここには何故か人が集まる。
草野球の子供らや。
釣糸垂れる釣り人や。
ランナー、ガンナー、タンホイザー。
各々勝手、好きに集まり。
好きに過ごしていた各々が。
夕焼け小焼けの合図とともに。
ぱらりぱらりと川辺をはなれ。
それぞれの脚で歩むは家路。
昔ながらの川辺の夕暮れ。
チリンチリンと鈴を鳴らして。
痩せた男が荷車を引く。
ぇアイスクリームぅ。
ぇアイスクリームぅ。
唄うような独特の節で。
アイスクリームと呼び掛けながら。
揺れるように、進み行く。