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「皆さん見たことあるみたいだねえ。そう、今時、宇宙時代にこんな古びた、時代遅れの携帯電話。使ってる人なんて他にいないと思ったけどねえ。僭越ながら中のデータを調べさせて頂きました。…やっぱりこれ、アオザメータ議長の携帯電話…なのですよねえ。」
小太りの。
指が摘まんだ携帯電話。
見せつけるようにぷらぷらと。
規則正しく左右に振れる。
「そんな…馬鹿な!?わ、私は現地に行ってなぞいない…おい!どういうことだこれは!いったい、貴様…、なんだ!待て!私をどうしようと…!?」
円卓を。
挟んで向かいの闇の中から。
青ざめた声、焦る声。
「発言は挙手してからお願いします。」
非情にも。
斬り捨てるかの冷静さで、<当番>の男が制止に入る。
「どういうことなのかはねえ。こちらがねえ、説明して頂きたいんだよねえ。」
スポットライトの光を浴びて。
携帯が揺れる、肉が波打つ。
小太りの顎が愉しげに曲がる。