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「おい、腹が減ったぞ。」
すれ違い様。
半裸の筋肉サイボーグ、ソニックが、体育座りのまま微動だにせずに呟く。
止まらない男。
ノンストップ・ラヴェンダーは足を止めずに、やさしく2回、ポンポンと。
筋肉の頭を叩いて過ぎる。
いつになく。
彼がやさしく微笑んだ、そのように見えたのは気のせいだろうか。
夜の雨打つ路地裏の道。
Xカーと、ラヴェンダー。
ふたりはしばし、向かい合う。
無言でしばし、向かい合う。
「Xカーくん。」
止まらない男。
ノンストップ・ラヴェンダーがようやく一言、言葉をかけた。
「マッヂャジマズ。」
テキトーな男がテキトーに作った、テキトーな機械のシーリング。
隙間から、内部に雨水が入ったのか。
はたまた、動きすぎて焼き切れでもしたか。
震える迷子の涙声。
小さな迷子の涙声。
濁った声でXカーが応える。
ただ一言。
彼が唯一出せる言葉を、ようやく出会えた親へと返す。