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「じゃあね。行ってくるから。」
「はい。お気をつけて。」
止まらない男とキテレツ眼鏡。
この場に生き残った男二人は言葉少なに別れを交わす。
それ以上も、それ以下もない。
彼ら二人の彼らのやり方。
自然に上がった右手が揺れる。
「マシーンマンさん。ごめん、ちょっと送って。」
「ハッシャシマス。」
志半ばに倒れたハンサムなスナイパー、ターゲットの傍らで。
超長距離対物狙撃用高出力レーザーライフルの姿をしたまま、沈黙を守っていた謎のロボット。
マシーンマンがギゴガゴゴと、通常の形態へ変形する。
「ハッシャシマス。」
ブゥンブン。
ブリブリブリブリ。
重く、荒く、エンジンを唸らせ。
どこからともなく黒のオバマが、都会の闇に姿を現す。
「(2017年式オバマ…一酸化バリトンニュームが使われる前のクラシック・カーなら、ピコーンピコーンの影響を受けない訳ですか。)」
眼鏡が眼鏡をクイッとやる。