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「製造者責任っていうかさあ。ターゲッちとか、ヨロイの旦那に任せるのは、なんか。違うんじゃないかなあって。」
「だからって殺害しなくてもいいと思いますが。」
「死んでないでしょ、二人とも。たぶん。」
「そうですね。」
ふたたび夜風に流れる沈黙。
フッと空気の揺れる音、僅かに緩む眼鏡の口元。
「なに?」
「いえ。ちゃんとした理由、あったんだなって。ふざけてたわけじゃないなら別にいいです。」
「あれ、やさしい。怒んないの?」
「まあ。眼鏡的には明日も会社なので、早く帰れればなんでもいいかなあ、と。最悪、失敗してもまた今朝からやり直しになるだけですし。」
「またそうやって。他人事だと思ってさあ、大変なんだよ?俺様チャンはたった一人で、何回も何年もかけて今日をやり直してるんだから。俺様チャンじゃなきゃ自殺してるね。」
「ええ、ですから。」
眼鏡が眼鏡をクイッとやる。
「失敗、しないでください。」