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衝撃波。
銀河最強のサイボーグ。
彼の拳は音速を超え、大気の壁を突き破り、暴風となって敵を捉える。
ソニックという彼の名前の由来だ。
地から天へと逆昇る竜巻。
ソニック渾身、アッパー・カットの乱気流が。
戦車、パトカー、装甲車。
掃除機、テレビ、冷蔵庫。
四間四方のあらゆるそれらを。
彼を囲んだあらゆるそれらを。
紙屑のように吸い上げ巻き上げ、遥か天宙へと吹き飛ばす。
盲々たる土煙が晴れると、既に彼の姿はなく。
ぽっかりと。
掃かれたようになにもない、ただただ真円の空間だけが、ビルの谷間に残されている。
「都会のドーナツ化現象。」
後の世の社会学者は、この光景をそう称したとか、しないとか。
夜なお輝く都会の中心、蒼白く。
ピコーン、ピコーンと発光しているその中心へと筋肉は向かう。
彼が対するべき相手。
Xカーとその軍勢の、待ち受ける先へと歩を進める。