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「…でぇ?」
居間の。
ソファから響く、間の抜けた声。
無知で愚かな者は、声にもその特徴がよく現れている。
「あんだけこだわって、駄々こねて、散々俺たちを振り回してまで手に入れたオバマを、アッサリ返してきちまったってワケだ?この仲間たちに相談もせずに。この仲間たちに相談もせずに。大切な事なので2回言いました。いやはやなんというか、ターゲットのお兄さんは実に、実に、人間が良く出来ていらっしゃいますなあ?」
愚痴愚痴、愚痴愚痴と。
先刻から下らん言葉を並べ立てているコイツは、止まらない男。
まったくもって不本意ながら、俺の裏稼業仲間のひとりだ。
自称、超能力者。
その実、計画性もなにもない行き当たりばったりの調子に乗ったチンピラ崩れ。
馬鹿野郎という言葉がこれ程似合う男を俺は他に知らない。




