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『このままだとねえ。共鳴現象起こしてる自動車や、電化製品や、ペンギンや、パトリがねえ、さらにそこから連鎖的にどんどん、共鳴現象起こしていって。アッという間に街中が、ピコーンピコーン、いっちゃうよねえ。まずいんだよねえ、まずいんだよねえ、僕たちだけしかまだ知らないけど。一酸化バリトンニューム機関の共鳴が生み出すエネルギー、一定の限界値…μ値を超えちゃうと制御が効かなくなって、暴走して、大爆発しちゃうんだよねえ。そうなったら一都市まるごと吹っ飛んじゃって、他国からの戦略的攻撃とか勘違いされて、報復攻撃と報復攻撃を繰り返しあって、ついには人類が滅びるところまでいっちゃうよねえ。ああどうしようどうしよう。あの5人のギャング君たち、きっと制御装置を組み込んでないんだ。困ったねえ、困ったねえ。』
電話越し。
ぶるぶる震える小太りの声。
ガシャリ、ガシャリと地を踏む音が。
僅かにその、歩幅を緩める。