545/1502
6 ‐ 100
暗黒の宇宙空間。
遥か地球を見下ろす静止軌道上に浮かぶ、六角形の宇宙ステーション。
人呼んで『スペースペンタゴン』その内部、最上層のVIPルームへと続く長い廊下。
二人の男がすれ違う。
VIPルームから出てきた男はガシャリ、ガシャリと金属質の足音を立てる。
VIPルームへ向かう男はタプン、タプンと肉感的な足音を立てる。
他にはつゆ、音為うものなき宇宙の孤島。
ガシャリ、ガシャリとタプン、タプンと、その音だけがすれ違う。
「…テレビ、見た?」
すれ違い様。
VIPルームへ向かう男が、余った顎の肉を揺らして囁く。
「…………。」
VIPルームから出てきた男は重い兜で一度だけ頷き、無言で肯定の意を態度に示す。
「まずいよねえ、まずいよねえ。一体どこから情報が漏れちゃったんだろうねえ。」
VIPルームへ向かう男はオロオロオロと身体を揺する。
余った腹の肉がタプタプタプと音立て揺れる。