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鳴っていたのは眼鏡の携帯。
ピコーンピコーン。
ピコーンピコーン。
否、眼鏡の携帯はこのように趣味の悪い音ではないはずですが。
では、眼鏡のなにが鳴っているのでしょう。
右のポケット。
左のポケット。
ふところ、おや。
ピコーンピコーン。
ピコーンピコーン。
鳴っていたのは昨晩から預かっていた、すぐ腹の減る方の携帯。
そう、この携帯には眼鏡的に、いろいろと興味深い情報が詰まっていまして。
何故、そんな情報がすぐ腹の減る方の携帯に詰まっているのか、眼鏡は疑問に思いますが。
まずは眼鏡の知的好奇心を満たすことが先決。
眼鏡の疑問はその次です。
思い出したところで善は急げ、早速PCに繋いでデータを解析したいところですが。
端からみれば眼鏡の携帯が鳴り続けているというこの状況。
形だけでも電話に出ねば、眼鏡の立場が悪くなります。
ビジネスマンとして失格であるとの、烙印を捺されてしまいます。