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弾かれ逢い。
衝突かりあった撞球、互いに別離れ。
1ツ、2ツ、3ツと。
奈落の闇へと飲み込まれていく。
お見事。
背中でグラスを揺するのは拍手の替わり。
浮かんだ氷と氷が揺れる。
遊戯台を離れた美女。
その歩み、至極の当然に此方へ向かい。
カウンターの隣、至極の自然に滑り込む。
間を置かず。
素、と差し出されるカクテル。
店主の一分の無駄もない動き。
こちらも至極の当然、自然。
お隣のお客様からです、など野暮な事は言わない。
よく理解っているなと苦笑する。
どうやら。
水泳場と間違えて泳ぎに来た、というわけではなさそうだな。
鼓。
グラスを傾け独り言るように呟く。
「馬鹿ね。」
水着と見紛うほどの。
薄い装束の美女、応えて微笑う。




