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カラカラカラと。
タイヤが廊下を滑る音。
外にいるキミは素直なキミで。
そのままどこかにいっちまいます。
この素直さには好感が持てます、人間素直がいちばんです。
どうか今の気持ちを忘れずに。
そのままのキミでいてくれ。
「無視して良いものだったんですか?あれは。」
眼鏡くんが眼鏡をクイッとやります。
外にいるキミのことは既に過去形になっております、この眼鏡。
昨日から思ってたけど案外ドライだよねこいつ。
この眼鏡にはやさしさが足りない。
おコーヒーでもお飲みなさい。
眼鏡に足りないやさしさを充める。
俺っちのこの心遣い。
おコーヒーに溶けたやさしさの半分が、眼鏡くんのこれからの人生の糧となりますように、アーメン。
眼鏡くんのために祈ってあげるボクチャン超紳士、まじ紳士。
「…で、この部屋はいったいどこで。どうして僕たちはここに閉じ込められているんですか?」
んー、しらない。




