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暗黒の宇宙空間に。
零れる泪、ひと滴。
無限に拡がる大宇宙、なにを思ってここまできたか。
円い宇宙を幾周り。
巡り巡ってここまできたか。
一包の真空ポッドが宇宙を流れる。
謎のランプをペカテカさせて。
何かを呼び続けているか。
何かに応えているものか。
眠れる氷の棺が如く。
ひた真っ直ぐに進める『ソレ』は、偶然、はたまた必然のものか。
意思の結果、異志の導き、誘い込まれていくように。
宇宙に浮かぶ巨大建築。
成長途上のサグラダ・ファミリア。
疾光速の槍と駆け。
その中心へと墜ちていく。
大の宇宙に響く衝撃。
波打ち揺れる宇宙震。
愚か人類のバベルの塔は。
大神ゼウスの雷の。
裁きを受けて塵に崩れる。
鉄骨、鉄板、鉄破片。
形容を成して組まれたそれらが。
再び独つ、独つに還る。
ゼロ点から伸びる三方軸。
X 、Y、Zへ旅立つ彼方。
開幕と終幕の物語。




