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「あら!ごめんなさいね、ロボットさん。」
謎のロボット。
マシーンマンを抱きしめる形になってしまった乗客の女性は、気恥ずかしそうに慌てて離れる。
若い女性である。
相手がブリキのオモチャライクなルックスの、いかにもレトロな謎ロボットとはいえ。
そのふくよかな胸に相手の顔と思しき部分を埋めてしまったのでは、照れたような反応となるのは仕方ないことであろう。
「え、お客様、お客様。急な停車となりましたことをお詫び申し上げます。只今、この先、ヨクフカ港方面におきまして。半裸のサイボーグ。筋肉モリモリマッチョマンの変態が暴れているという情報が入りました。当車輌は安全の確認が取れるまで、しばらく停車致します。え、お客様にはお急ぎのところ大変ご迷惑をおかけ致します、申し訳ございません。」
車内アナウンスがのんびりと伝える。
「あら…。」
若い女性はいかにも。
困ったわ、という表情で眉をしかめる。




